ボーカルの綺麗なスピーカーはツイーターの取り付け位置がポイント
【もくじ】
スピーカーのエンクロージャーの上にちょんまげの様にちょこんと乗っているツイーターは単なるデザインではなく、高音質を追求した結果である。
オーディオショップで見かけたら、一度試聴してみて欲しい。
きっとその場を離れられないくらい透き通った歌声に心が奪われるはずだ。
自作スピーカーで知ったツイーターのポジション
フルレンジスピーカーでも高音域を伸ばす為、自作スピーカーではホーンツイーターをエンクロージャーの上に置く事がある。
以前スーパースワン のヘッドの上に、お相撲さんの「ちょんまげ」のようにフォステクス のホーンスーパーツイーターを設置していた。
ツイーターを前後に動かしてみるとボーカル帯域が明確になったり、ドラムのシンバルが綺麗に響くポイントがある。
ツイーターはコンデンサを使ってハイパス、いわゆる中高域から低域をカットした音声信号が入力される。
しかしコンデンサーでは、ある音域からスパッとカット出来るわけではなく、メインのユニットとツイーターの発する音にオーバーラップする帯域ができる。
そのオーバーラップした帯域で打ち消したり増幅されたりして、ある帯域で音が凹んだり、濁ったりする場合がある。
フルレンジやミドルレンジのユニットとの位相差による現象だが、これをツイーターを移動する事によって位相を整えると音質が良くなるのである。
ツイーターを「ちょんまげ」のようにスピーカーの天板に設置すると自由に動かして位相を調整できる他、バッフルの反射の影響が軽減されるというメリットがある。
通常よく見かける2wayスピーカーは、ウーファーの直径以上の幅のバッフル(スピーカーの正面)板にウーファーとツイーターが配置される。
各メーカーの工夫でツイーターをバッフルの端に寄せて設置したり、バッフルにフェルトやウレタンや革などを貼ってツイーターの回折音によるバッフルの反射の影響を避けている。
ちょんまげスタイルでツイーターをスピーカーの天板に設置すると、これらがあっさり解消する。
昔に聴いたボーカルの綺麗なオンキョーのスピーカー
1980年代後半頃だったか、オンキョーから発売されていたスピーカーにちょんまげスタイルの小型ブックシェルフ とトールボーイスピーカーがあった。
若い頃に日本橋のオーディオショップで、ONKYO Q1 小型の2wayブックシェルフ型スピーカーを視聴して、ボーカルがスーッと耳に溶け込むように入ってきた事を今でも覚えている。
ONKYO Q1
トールボーイのONKYO セプター3001はどこかの試聴会で聴いたことがあり、そのときはボーカルの入っている曲ではなくマイルス・デイビスの「Milestones」というジャズのアルバムを流していた。
このCDはモノラルを擬似ステレオ化したもので、ドラムのシンバルやトランペットなどの高域が目立った録音なのだが、輝かしく高音が鳴るわりには耳に刺さるという感じがしなかった。
ONKYO セプター3001
今でも海外製ではB&Wのスピーカーがこの方式を採用している。
B&Wは人気のあるスピーカーだ。
オーディオショップで見かけたら、一度「ちょんまげスタイルのスピーカー」を聴いてみてほしい。
とにかくボーカルがどこにも引っ掛からずスーッと耳に入ってきて、録音の良い音源であれば歌手が2本のスピーカーの間に綺麗に浮かびあがるのが分かると思う。
ルックスを好むかどうか人それぞれたが、もしかすると綺麗なボーカルにうっとりしてお持ち帰りするかもしれない。
2020年11月1日更新
2020年1月11日初回投稿