これからオーディオシステムを揃えていこうと思うとき、スピーカーとアンプとプレーヤー(デジタル・アナログ)などの予算比率をどうしたら良いのか?
今まで使っているオーディオシステムの音質をアップしようとした場合、スピーカー? アンプ? プレーヤー? いったいどの装置を買い替えたら良いのか?
どこにお金をかけたら良いのか?という質問に「スピーカーだ!」と答える方が多いのではないだろうか?
でもそれは、一概にそうとも言えない、、、?
【もくじ】
予算比率をアンプに掛けてきたオーディオ
キャリングコンポからのグレードアップ「スピーカーとアンプ」
学生の頃、ラジカセのFM放送から流れてくる音楽を聴くのが楽しみだった。
持っていたラジカセは、スピーカーがセパレートできる【キャリングコンポ】といタイプのものだった。
もう少しいい音で聴きたいと思い、家の近くの家電を売っている和光電気という店にミニコンポを観に行った。
オーディオコーナーには雑誌やテレビのCMで観たことのあるキラキラとインジケーターが光るミニコンポが並んでいた。
オーディオコーナーの店員さんに、自分が今キャリングコンポで音楽を聴いている事を伝え、どのミニコンポが良いのか?と訪ねた。
店員さんは【ONKYOのインテグラ】というコンポを勧めてきた。
そして店員さんは「いきなりフルセットを買わずに、スピーカーとアンプだけを買っておけばイイよ!」とアドバイスしてくれた。
"スピーカーは音が出る装置だからわかるけれど、アンプなんてテープレコーダーやチューナーなどを切り替えたり、ボリュームで音を大きくしたり小さくしたりするだけの装置じゃないの?"と私は訪ねた。
すると店員さんは「このスピーカーを持ってみてごらん」と言って私の両手にONKYOのインテグラの小型ブックシェルフ型スピーカーを持たせた。
そのスピーカーは想像以上にずっしりと重たかった。
そしてアンプもわざわざ配線を外して、私の両手に持たせてくれた。
このアンプは見た目はミニコンポサイズだが、スピーカーを持ったとき以上に想像を超えた重さだった。
スピーカーは、確か16か18cm位のウーファーの上にツイーターとスーパーツイーターが横に並んだ3wayの密閉型の小型ブックシェルフタイプだった。
プリメインアンプは幅が35cmぐらいのミニコンポサイズだったが、いったい中に何が入っているのだろう?と思うぐらい重たかった。
実際に音を聴かせてもらうとラジカセやプラスチックの筐体のミニコンポとは次元の違う何かを感じた。
店員さんは「特にこのアンプはフルサイズコンポ並に音がいいよ!スピーカーをいい音で鳴らすにはアンプが重要だよ。」などと熱心に私に説明してくれた。
新しいキラキラとイコライザーが光るミニコンポのフルセットを買おうと店に入ったが、帰るときにはONKYOのアンプとスピーカーの代金を支払って店を出た。
後日、和光電気からONKYOのインテグラのスピーカーとプリメインアンプが家に届いた。
まずキャリングコンポのスピーカーを外して、ズッシリと重たいONKYOのスピーカーを繋げてみた。
キャリングコンポにFM放送をエアチェックしたカセットテープを入れて、再生ボタンを押す。
新しいスピーカーから飛び出してきたのは、今まで自分の部屋で鳴ったことない音に衝撃を受けた!
スピーカーだけで十分じゃないか??
しばらく喜びに浸ったあと、あの店員さんのアドバイスを思い出して新しいアンプで音を鳴らしてみる。
今まで使っていたキャリングコンポは、チューナーとカセットテープレコーダーとして使うので、キャリングコンポの外部音声出力からONKYOのプリメインアンプに赤白のRCAケーブルで繋ぎ、ONKYOのスピーカーをスピーカーケーブルでプリメインアンプのスピーカー端子に繋いだ。
カセットテープの再生ボタンを押す、、
すると、音が出て直ぐにあの店員さんが教えてくれた事が理解出来た!!
キャリングコンポに繋いで聴いたスピーカーの音と全く違う。
FM放送のパーソナリティーの声が生々しい!
さらに音楽が流れると低音の迫力が全く違う!
まるで楽器が目に視えるようだった!
アンプで化けた!8cmフルレンジ小型スピーカーの実力
以前サブシステムで8cmのフルレンジの自作スピーカーを使っていた。
そのユニットはDIY AUDOのSA-F80AMGというもので 能率は84.3dBとかなり低い。
振動板の材質はマグネシウム素材で、厚みのある低音と伸びやかでクリアな中高音の表現が優れているスピーカーユニット。
アンプはパイオニアのA-N701というミニミニ?コンポサイズながら、その中身は単品フルサイズコンポの上位機種の部品が使われているという。
発売当時は、オーディオ評論家の江川三郎氏が絶賛してた。
今でもオークションなどで見かける。
これでなんの不満もなくサブシステムとしてBGMを流していた。
その後、別室のAVシステムにマトリックスサラウンド用として使っていたDENONのPMA-390AEをマランツのAVアンプに買い替えたのでしばらくDENONのプリメインアンプは部屋の片隅に放置していた。
ある時ふと、あの頃店員さんが教えてくれた「スピーカーを良い音で鳴らすにはアンプが重要!」という言葉を思い出した。
それで、コンパクトなパイオニアA-N701からフルコンポサイズのズッシリと重たいDENON PMA-390AEに繋ぎ換えた。
最初の一音からこのスピーカーで聴いた事の無い音が飛び出してきた!
このサブシステムではBGM的に鳴らしていたので決して大音量ではないが、音の密度と厚みと深みがあり、低音から高音までレンジが広がり、力強さや響きの良さなどはっきりとアンプの違いが感じられた。
何十年もの間モデルチェンジを繰り返し、未だにオークションでも人気のあるDENONの390シリーズのアンプの力はすごいと改めて思った。
スピーカーの潜在能力を引き出すアンプ
音に不満がある場合、スピーカーを買い替えると確かに音や見た目も変わり満足感が増すが、アンプを良いものに換えるとスピーカーの潜在能力が発揮される。
雑誌などで【スピーカーとアンプとプレーヤーの予算比率】について提案をしている記事をみたりするが、スピーカーの比率が高いことが多い。
確かに音の出口のスピーカーがそのシステムの音を支配しているが、スピーカーの能力を引き出す為には、アンプの予算比率を高くすることが良いのではないか?
自作スピーカーの10cmフルレンジのバックロードホーンは、繋がれたオーディオ機器やアクセサリーに敏感に反応する。
能率が95dBと高いのでアンプに力を求める必要がないはずだが、アンプにこだわり、DENONやラックスマンのプリメインアンプに買い替えるとその音の変化が手に取るようにわかる。
オーディオシステムのアンプを換えるたびに、ミニコンポを買いに行ったときの和光電気の店員さんのアドバイスを思い出す。
そのたびにスピーカーを鳴らしているのは、アンプだという事をつくづく思い知らされるのである。
2020年10月3日 更新
2019年12月30日 初回投稿