スピーカーのインシュレーター設置方法
スピーカーをセッティングするときに3点支持が良いか?4点支持が良いか?意見が分かれるところ。
カメラや絵画のキャンパスなどは3脚を使って3点支持になっている。
4点支持だとガタついて大事なカメラやキャンパスが転倒する恐れがある。
しかし、これはスピーカーでいえばスタンドに相当することでフロアー型スピーカーや小型のブックシェルフ型スピーカーをスピーカースタンドを使わずに設置する場合は話が変わってくる。
静止しているものであれば3点でも4点でもどちらでも良いのだが、スピーカーはユニットの振動板が動き、それに伴ってエンクロージャーも動いている。
常に動いているものに対してどのように固定するかが重要で、3点支持か4点支持かはケースバイケースになる。
そのケースバイケースとはどういうことか?を考えてみよう!
【もくじ】
インシュレーターの目的は?
オーディオのインシュレーターの目的は「振動の遮断や吸収と音色のコントロール」
レコードプレーヤーでインシュレーターを使う場合は、ハウリング対策として主に振動の吸収を目的としている。
スピーカーにインシュレーターを使う場合、床や設置場所への振動の伝達をコントロールすることが主な目的だ。
又、インシュレーターの素材によってスピーカーから発せられる音色も変わってくるので、金属、ゴム、木、ガラスなどいろいろな製品が販売されている。
しかし、インシュレーターの音色云々の前にインシュレーターを正しく使えているかを一度確かめてみたほうが良い。
なぜならインシュレーターを使う効果が発揮されていない場合や改善しているつもりが、逆に改悪となっている場合があるからだ。
インシュレーターを正しく設置する重要ポイント!
ガタツキを無くす事が最重要課題!
注意したいのは、インシュレーターを挟むことによって逆にガタツキを発生させている場合があること。
その確かめ方は、スピーカーの天板に手を乗せて揺すってみるとすぐに分かる。
スピーカーを前後左右に揺すってみて、”カタカタ”と音が鳴った場合はインシュレーターを挟んだ効果は発揮されていない。
これは、特に硬いインシュレーターを使っている場合に注意が必要だ。
”カタカタ”とガタツキがある音がすると言う事は、インシュレーターを4点支持で使っている場合に起こることで、4つのインシュレーターのうちどれかがスピーカーの底面に触れていない証拠。
スピーカーというオーディオ機器は、音声信号が入力されてユニットの振動板が動いている。
その動いている振動板を支えているのが、ユニットのフレームで、そのフレームはスピーカーのエンクロージャー(概ね正面バッフル板)に取り付けられ支えられている。
そのエンクロージャーはしっかりと踏ん張ることが出来ていないと、音のエネルギーがロスしてしまう。
エネルギーをロスしているという事は、スピーカーの実力が発揮できていない状態という事だ。
そのような状態で、いろんなインシュレーターを取っ替え引っ替えしても、根本的な振動対策になっていないのである。
では、どのように解決するのか?
それはスピーカーの天板に手をあてて揺すりながら浮いているインシュレーターを見つけ出して、そのインシュレーターの下に隙間に合った厚みのスペーサーを入れることである。
スペーサーとしては、10円玉や銅板、鉛シート、ゴムシート、厚紙、Pタイル、木板などを使うとい良いが、ガタツキをとるのは根気のいる作業である。
基本的に1箇所のインシュレーターに対してスペーサーを挟んでガタツキが取れれば良いが、無理な場合はもう1箇所に対して薄いスペーサーを噛ませると大体収まってくる。
他の方法として、スピーカーの設置面に平面性の高いボード類を敷いて、その上にインシュレーターを乗せるというやり方もある。
このやり方は、インシュレーターに挟むのではなく、ボードの下にスペーサーを挟んでガタツキを押さえておいて、平面性の高いボードの上にインシュレーターを置くと精度の悪いエンクロージャーでない限りインシュレーターのガタツキは発生しない。
このやり方をスピーカーではないが、レコードプレーヤーのハウリング対策で実施している記事があるのでよかったら参考にしていただきたい。
(レコードプレーヤーの方がシビアで、水準器を使って水平を出さないといけない。)
👇参考記事
3点支持が良いか?4点支持が良いか?
スピーカーにインシュレーターを挟む場合、スピーカーの底面に対し四隅に置く4点支持とインシュレーターを3箇所で使う3点支持があるが、どちらが良いかはケースバイケースだ。
3点支持は、先程の4点支持のようなガタツキが起きないので楽な方法だが、スピーカーのように振動板が動いてエレルギーを発していものを3点だけ支えても大丈夫なのか?という疑問は残る。
四角い底面を持つスピーカーを3点で支える場合、概ね下の3通りの組み合わせがある。
①底面の前方左右に2箇所、後方真ん中に1箇所
②底面の左(もしくは右)方向真ん中に1箇所、反対側に2箇所
③底面の前方真ん中に1箇所、後方左右に2箇所
3点支持の場合、3箇所に均等に重力が掛かってガタツキがなく安定するわけだが、上の②のようにインシュレーターを置いている写真などを私は見たことがない。
又、③のようにインシュレーターを設置してスピーカーを正面から見ると、下の写真の様にユニットの真下には1点の支えとなるのだが、これを見て安定しているように感じるだろうか?
特にスピーカーは動くものという事から考えると、しっかり四隅で支えていることの方がベターなのではないか?
結論として
動くものを安定させる事から考えて4点支持が良い。
但し、ガタツキが無い事が必須条件となる。
現在はチェストの上に厚さ8mmの強化ガラスの棚板をオーディオボードとして載せている。
強化ガラスの板はチェストの美観を損ねず共振対策ができるのでおすすめだ。
さらに強化ガラスは平面性が良いので、スピーカーを置いてもガタツキが非常にすくなく4点支持でスピーカーをセットしやすい。
下の写真の場合、右側のトールボーイスピーカーaudio pro AVANTO FS-20 は底面が奥行方向に長い長方形のため4点支持で設置している。
隣の10cmフルレンジバックロードホーン(スーパースワン)は底面が正方形に近く、さらに低重心(鉛粒とジルコンサンドをデッドスペースに詰めている)なので3点支持で設置している。
スーパースワンのように、底面積が広く重心が低いスピーカーの場合はもともと安定性があるので3点支持でも良いと思う。
どちらのスピーカーも、しっかりと安定しており、音質も劣化していないことが確認できている。
スピーカーの設置方法やインシュレーターの使い方には様々な意見があるが、自分のスピーカーや設置環境に合わせて、適切な方法を選ぶことが重要である。
また、インシュレーターの設置による音質変化を確認する前に、まずガタツキを取り除くことが肝心である。
スピーカーをしっかり固定してやる事によって、さらにインシュレーターやケーブル類で好みの音に追い込みやすくなるはずだ。
2020年4月26日
ステレオ 2024年7月号: 価格を超えたクオリティ 究極のコスパ逸品 (07号)