DENONのプリメインアンプ「PMA-2000シリーズ」は、1996年の初代登場以来、長らくベストセラーであり続けたロングセラー機だった。
私はその2代目にあたるPMA-2000Ⅱを、1998年頃から2018年まで約20年間メインシステムで使い続けた。
この記事では、20年間使い込んだからこそ分かるこのアンプの音質と、結果的に「超ハイコスパ」だった理由をお伝えしたい。
【もくじ】
DENON PMA-2000Ⅱとは
1998年発売、当時の定価100,000円。
- PMA-2000をベースに改良を施し、音質に磨きをかけたモデルだ。
- 出力段に大電流型増幅素子UHC-MOSをシングルプッシュプル構成で採用
- 電源部にはPMA-2000比でコアの積み厚を約20%、巻線断面積を約40%アップした新開発パワートランス
- 重量級の筐体
10万円クラスとは思えない物量投入型で、ルックスも良く、当時のオーディオ誌でも高い評価を得ていた。
(写真:PMA-2000Ⅱ本体)

20年使って分かったPMA-2000Ⅱの音質
30cmウーファーを軽々と駆動する低音の力
当時私が使っていたスピーカーはダイヤトーン DS-77EX。
30cmウーファーの3wayブックシェルフだ。

30cm級のウーファーを十分に駆動するには、それなりのアンプが必要になる。
DENONのPMA-2000ⅡのUHC-MOSによる大電流供給能力は、まさにこのウーファーを鳴らし切るためにあるような組み合わせだった。
PMA-2000Ⅱを買う前までは、直前までソニーのTA-F555ESXを使用していた。
どちらにも強力な電源を搭載しており駆動力は十二分にあった。
初めて接続したDENONのPMA-2000Ⅱは、低音が下まで伸びているが、余裕のトルクで空気感として伝わってきた。
当然、エージングは必要で、鳴らしこむにつれて中高域の鮮明さが増してきた。
- 低音は先ほども言ったように、輪郭を強調するものではなく空気感をよく表現する。
- 中域は厚みがあり、ボーカールの肉声も濃く感じられた。
- 高域は初代のPMA-2000より確実に伸びていたが、無理な強調感は無く自然なつながりだった。
当時、CDプレーヤーを5台買い替えたが、しっかりとプレーヤーの違いを見せてくれて、癖が少ないアンプだった。
狭い6帖の洋室でバランスが取れていたのは、ダイヤトーン DS-77EXが30㎝ウーファーでも低音が締まっている密閉型だったからかもしれない。
30㎝ウーファーでバスレフ型だったとしたら、相当スピーカーのセッティングに困っていただろう。
✅スピーカーのセッティングの手法については👇コチラの記事をご参考に
ジャズを聴くとどうだったか
当時、好んで聴いていたのは、80年代のマイルス・デイビスだった。
特に、ユア・アンダー・アレストやマーカスミラーがプロデュースしたTUTUだった。
ユア・アンダー・アレストの最後の曲 ”Jean Pierre/You're Under/ Then There Were None ”の後半、マイルスのミュートで吹いていると、シンセサイザーの効果音(爆弾が投下され、人々が泣き叫び、戦闘機が左から右に飛び立つ)が鳥肌ものだった。
TUTUは録音がよく、マーカー・ミラーのエレキベースの伸びやチョッパーの弦を弾く立ち上がりが非常に気持ちが良かった。
特に”Full Nelson ”は、スタジオ録音でシンセサイザーをふんだんに使われているにも関わらず、マイルスのトランペットやその他サックスなどの掛け合いが、生っぽいセッションを感じさせる。
DENONのPMA-2000Ⅱは、電子音もアコースティックの良さもしっかり伝えてくれていた。
その後、70年代、60年代、50年代とマイルスの年代を遡って聴いていくようになった。
50年代のクリスマスに録音した、セロニアス・モンクとの喧嘩セッションと呼ばれている”マイルス アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ”は、エコー処理しているといえ、モノラル録音にも関わらず音の漂い感が素晴らしかった。
当時、フィリップスのDACチップと搭載していたマランツのCDプレーヤー「CD-80」で聴いていたが、フィリップスの独特のビブラートや揺らぎをDENONのPMA-2000Ⅱは、しっかりと表現していた。
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SONY TA-F555ESXとの比較
DENONのPMA-2000Ⅱの前に使っていたプリメインアンプのSONY TA-F555ESX(1986年発売・定価128,000円)だった。
購入時はサンスイのAU-α707とSONYで迷ったが、当時マトリックスサラウンドに興味を持っていて、サンスイはバランス回路のためマトリックス接続すると故障するとのことでSONYを選んだ経緯がある。
- SONY TA-F555ESX:鳴った瞬間に音がスピーカーから飛び出してくる感じで、音場感が素晴らしかった
- サンスイ AU-α707:つややかで楽器の音が非常にリアル(試聴時の印象)
それらと比較するとDENONのPMA-2000Ⅱは、音が鳴った瞬間に余裕が感じられた。
オーディオショップで、手持ちの色々なCDを聴かせてもらったが、良い意味でオールラウンダーな懐の広さを感じるアンプだった。
後発とはいえ、DENONのPMA-2000Ⅱが発売された当時は、あまりにもウルトラハイコストパフォーマンスで衝撃的だった!
修理で音が若返った!🌟20年目の発見
手放す数年前に故障した。
買い替えを考えてメーカーに電話すると、「出張費込み24,000円ほどで修理できる」とのこと。
幸い部品もあり、DENONの技術者に自宅まで来てもらい、目の前で分解修理をしてもらった。
<修理の内容>
- ソースリレーダイレクトスイッチの交換リレー交換
- 各所接点復活剤の塗布
- 入出力端子のハンダ打ち直し
- ヒューズ交換
- その他、音質に関わるところはできるだけハンダを打ち替え
DENONの技術者が家にきていただき、目の前でPMA-2000Ⅱの基板のハンダを吸い取って打ち直すスピードは半端じゃなかった。
どんなハンダを使っているのか見せてもらったが、特に高級なものではなく普通の電子部品用だった。
今回の故障はセレクターなどの部品が原因で、音質的な問題ではなかった。
~それにもかかわらず~
技術者が帰ったあと、聞き慣れた音楽を聴いて驚いた。
音が若返っていたのだ。
明らかに情報量が多くなり、つややかで輪郭鮮明。低音も高音もレンジが広がり、大変満足のいくものだった。
接点とハンダの劣化が、20年の間にどれだけ音を曇らせていたかを思い知らされた瞬間だった。長く使っている機器ほど、買い替える前に一度メンテナンスを検討する価値がある。
✅接点のクリーニングと保護については👇こちらで詳しく書いている
結果的に「超ハイコスパ」だった話
2018年、システム更新のためPMA-2000Ⅱを手放すことにした。
ヤフオクに出品したところ、オークションの終了時間が近づくにつれ、どんどん入札が増えて、最終的に42,000円で売れた。
計算するとこうなる。
- 新品購入額:70,000円(大阪日本橋のオーディオショップで定価10万円のところ)
- 修 理 代:24,000円
- 売 却 額:42,000円
- 実質負担額:52,000円
購入から20年間使用したので、実質5万円ほどで使えたとになる。
年間あたり、なんと2,600円だ!
フリマアプリのメルカリ なら自分で値付けができるので、もっと高く売れたかもしれない。
「ハイコスパ」という言葉の本当の意味
「ハイコストパフォーマンス」という言葉は、購入時の価格対性能を指して使われることが多い。
だが真のコストパフォーマンスは、手放すまでの総額で決まる。
- 長く使える耐久性があるか
- 修理サポートが受けられるか
- 中古市場で価値が保たれるか
この3つが揃って初めて、本当の意味でのハイコスパになる。
ロングセラー機であることは、これらすべてに効いてくる。
ロングセラーには理由があり、ロングセラーであり続けるには信頼が必要なのだ。
高額なオーディオ機器を買うときは、今のことだけでなく、将来いずれ手放すことも含めて検討してはいかがだろうか。
買うときは少々背伸びしてでも、高音質で長く使えて、高く売れるものを選ぶ方が結果的に得をする。
まとめ
- PMA-2000Ⅱは10万円クラスとは思えない物量投入型で、30cmウーファーも軽々と駆動する力を持っていた
- 20年目の修理(24,000円)で音が若返った。
- 接点とハンダの劣化は想像以上に音を曇らせる
- 実質負担52,000円で20年使えた。これこそ真のハイコストパフォーマンス
- 機器選びは「買値」ではなく「手放すまでの総額」で考えるべき
✅アンプの重要性については👇こちらでも書いている
✅その後導入したラックスマンのプリメインアンプについては👇こちら
www.audiojazzlife.com
2026年7月19日更新
2019年12月16日(初回投稿)
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