「壁掛けテレビにしたいが、壁の中の柱が見つからない」
これは壁掛けを諦める理由になりやすい。
断熱リノベをした壁では、柱など下地は存在するはずなのに、その位置を特定できない状態だった。
だが我が家では、15mm厚のベニヤ板をコーキングで壁に貼り付けるという方法で、65インチの有機ELテレビを壁掛けできた。
この部屋は断熱ボードを既存壁に上貼りしたせいで、下地はあるのに位置が分からないという厄介な状態だった。
施工は工務店にお願いしている。
だが、「こういう方法がある」と知っているかどうかで、相談の質が変わる。
今回はその記録をお伝えしたい。
【もくじ】
- 発端:引っ越し業者にテレビを壊された
- 型落ちを狙って、55インチ→65インチへサイズアップ
- 視聴距離300cmに65インチという判断
- なぜ壁掛けにしたのか
- 本題:下地がない壁にどう掛けたか
- 金具はアーム式一択だった
- 下地がない壁に壁掛けするときのポイント
- 今から選ぶなら:世代を比較して「型落ち」を狙う低反射REGZA有機ELテレビ
- まとめ
発端:引っ越し業者にテレビを壊された
3階のオーディオルームでは、前の家から持ってきたLGの有機EL テレビ 55インチを使う予定だった。
ローチェストの上にAV-MX20という自作スピーカーの上に置くだけの、シンプルな設置だ。
ところが引っ越しの際、引っ越し業者にこのテレビを壊されてしまった。
有機ELテレビの画面は繊細で、運んだり設置する際は、2人で下から持ち上げ、画面に圧が掛からないようにする必要がある。
大手の家電量販店で大型の有機ELテレビを購入すると、必ず二人で運搬設置してくれる。
しかし、引っ越し業者は一人で画面を強い握力で持ち、壊してしまったようだ。
結果、引っ越し業者からは、補償金は出た。
だが、その金額では同等の55インチ有機ELテレビは買えない。
- インチダウンはしたくない
- 液晶テレビにするのも嫌だ
有機ELの黒の締まりと自発光ならではの映像を知ってしまうと、もう戻れない。
悩んだ末に出した結論は、意外な方向だった。
✅有機ELテレビを選ぶ理由については👇こちら
www.audiojazzlife.com
型落ちを狙って、55インチ→65インチへサイズアップ
2025年11月、Amazonのセールを眺めていて見つけたのが、東芝 REGZA 65X8900Lだった。
- 65インチ / 4K有機EL(OLED)
- Dolby Atmos対応・重低音ウーファー搭載
- ダブルチューナー / スマートテレビ
- 2022年モデル
型落ちゆえの特価で、しかも、その時のセールでは、最後の1台だった。
同じ55インチを買うために想定外の金を追加で払うより、補償金を出しにして、この際サイズアップする。
買い替えさせられるのは悔しいが、同じお金を使うなら先々を考え前向きにお金を使おうと、気持ちを切り替えた。
型落ちモデルという選択肢
有機ELテレビは、新モデルが出ると前年モデルの価格が一気に下がる。
パネルの基本性能は年々変わるとは言え、大きさを優先するか、大きさを我慢して画質にこだわるか悩みどころだが、大きさを優先して、手が届く商品を選択した。
どんな最新機種でも、5年後には5年落ちのテレビになるし、10年後には10年落ちのテレビとなる。
壊れる前のLGのテレビは、パネルはOLEDだが、α9というプロセッサーで購入当初は上位機種だった。
6年以上経過していたが、ドルビービジョン 対応で、映画を観る分には不満はなかった。
そのことを考えると、特にセール時期の型落ち在庫処分は、狙い目になる。
視聴距離300cmに65インチという判断
私は昔からテレビを買うとき、視聴距離とインチ数の関係を公式にしている。
【公式】視聴距離(cm) ÷ 2.5 ÷ 2 = 程よい画面の大きさ(インチ)
この部屋はソファに座ってテレビまでが3m(300cm)。
300 ÷ 2.5 ÷ 2 = 60インチ
公式に従えば60インチが程よいサイズだ。
それでも65インチにした3つの理由
① この部屋は私と娘のほぼ専用だから
両親が来る部屋ではない。
ニュースやバラエティを家族で観る用途ではなく、私がネットフリックスで映画を観たり、娘がYouTubeでPVを観たりすることが多い。
映画やPV中心なら、画面は大きいほど没入感が上がる。
② 有機ELに60インチという選択肢がほとんどない
有機ELテレビのラインナップは、48・55・65・77インチが主流で、60インチというサイズはほぼ存在しない。
先ほどの程よいサイズの【公式】で60インチと出ても、実際には55か65の二択になる。
③ 55インチからのサイズダウン感を避けたかった
これまで55インチを使っていたので、同じサイズでは新鮮味がない。
結果、65インチは大正解だった。
(壁掛けにする前)

公式はあくまで「疲れない距離」の目安だ。「用途が映画中心なら、公式より1サイズ上げてよい。」これは実際に使ってみた実感である。
✅寝室のテレビサイズと視聴距離の考え方は👇こちら
なぜ壁掛けにしたのか
前の家では、MX-20AVという長岡鉄男氏設計のスピーカーの天板の上に、55インチのテレビを直接載せていた。
MX-20AVはブラウン管の時代に、テレビ台とテレビの間に挟んで設置する設計の薄型MXスピーカーだ。
特殊な接続方法で、8cmフルレンジユニット3つだけで、サラウンドを実現するマトリックス・スピーカーだ。
もしテレビが壊れていなければ、今の家でも同じように55インチテレビを置いていたと思う。
だが65インチとなると話が違う。
サイズも重量も一回り上がり、スピーカーの天板に載せることに不安があった。
もう一つ、決め手になったことがある。
リノベーションでリビングと両親の寝室を壁掛けにしたのだが、その見た目の良さを実感してしまったのだ。
テレビ台から解放された壁面はすっきりして、部屋が広く見える。
サイズアップという事情と、他の部屋で得た実感。
この2つが重なって、自分の部屋も壁掛けにしようと決めた。
✅リビングのサラウンド配線での失敗と教訓は👇こちら
✅両親の寝室にテレビ壁を作った話は👇こちら
本題:下地がない壁にどう掛けたか
問題:断熱ボードの上貼りで、下地の位置が特定できない
この部屋は家の住みながらのリノベーション工事の際に、断熱リノベとクロスの貼り替えのみを行った。
壁掛けテレビは想定していなかった。
壁の構成はこうなっている。

既存壁 → ネオマフォーム25mm → プラスターボード9.5mm
つまり既存の壁の上に、合計34.5mm厚のネオマ断熱ボードを上貼りした構造だ。
柱や桟といった下地は、既存壁の側にある。
問題は、その上に34.5mmもの層が重なっていることだ。
余談だが、このネオマ断熱ボードは優れもので、壁を解体せずに断熱リフォームができるので、工事手間が削減され断熱性もかなり向上した。
工務店が見つかったら、一度ネオマ断熱ボードを相談してみては、いかがだろうか?
この状態で下地チェッカーを当てても、下地の位置をピンポイントで特定できない。
センサーが反応せず、「このあたりにありそうだ」という程度しか分からないのだ。
下地の位置が正確に分からなければ、テレビ掛け金具のビスを狙って打つことができない。
普通ならここで諦める。
解決策:15mm厚のベニヤ板を壁に貼ってもらう
工務店に相談して出た答えが、15mm厚のベニヤ板を壁に貼り付けるという方法だった。
下地の位置が特定できないなら、壁全体に板を貼って、面で受ければいいという発想だ。
ベニヤ板は私の手持ちのものを支給し、施工そのものはリノベ工事をしている工務店にお願いした。

工法
1. ベニヤ板の裏面全体にコーキングを塗る(接着剤代わり)
2. 壁に圧着する
3. さらにビス止めで固定
ビスを打った際、何本かは既存壁の下地に効いていた。
狙って当てたわけではなく、面積の広い板を貼ったことで結果的に当たった格好だ。
これも面で貼ることの利点と言える。
工務店の証言
> 「広い面積の板だから、乾けばコーキングだけでも大丈夫」
面で荷重を分散させるので、点で支える通常のビス止めとは考え方が違う。
板全体が壁と一体化するイメージだ。
そこに下地へ効いたビスが加わっているので、保持力としては十分だろう。

ここは必ずプロに任せてほしい
工法自体はシンプルに見えるが、壁の構造・下地の状態・テレビの重量によって適否は変わる。
我が家では工務店がその場で壁の状態を確認した上で判断している。
自己流で施工して、20kgのテレビが落下すれば大事故だ。
同じ悩みを抱えている方は、「下地の位置が特定できないのですが、ベニヤ板を貼る方法は使えませんか」と工務店に相談してみるのがよいと思う。
選択肢として知っているだけで、話が早く進む。
使用したベニヤ板
厚み:15mm
サイズ:900×700mm
実はこの板、20年以上前に東急ハンズでスピーカーのエンクロージャーを作ったときの端材だ。
当時、東急ハンズには木材のカットサービスがあり、設計図を渡してカットしてもらえた。
スピーカーを自作する者にとっては非常にありがたいサービスだった。
その余りを「いつか使うだろう」と取っておいたものが、20年以上の時を経て65インチの有機ELテレビを支えることになった。
自作スピーカーをやっている方なら、同じような端材が家に眠っているかもしれない。
厚みは15mm以上を推奨したい。
9mm程度だとビスが効きにくく、65インチ(20kg前後)を長期間支えるには不安が残る。
板が大きいほど荷重が分散し、テレビ掛け金具のビス位置の自由度も上がる。900×700mmというサイズは、65インチのVESA規格の取付穴に対して十分な余裕があった。
将来、HDDをテレビ の裏に隠す為の棚の下地にもなる。

金具はアーム式一択だった
金具はアーム式(可動式)を選んだ。
使用したのはTVセッターフリースタイル VA326(Lサイズ・55〜90インチ対応)。
65インチに対しては余裕のあるサイズで、耐荷重にも不安がない。
これは前回の失敗を踏まえた判断だ。
両親の寝室でニッチ状に埋め込んだときは固定式を選んでしまい、狭い隙間での配線作業に大苦戦した。
今回はアーム式にしたおかげで、テレビを手前に引き出した状態で配線でき、作業は楽々だった。

壁掛けテレビは、設置したら終わりではない。
機器を買い替えればHDMIを差し替えるし、配線の整理も必要になる。
その都度テレビを外すのか、引き出すだけで済むのか。
この差は大きい。
なお、アーム式は壁から離れた位置でテレビを支えるため、固定式より壁への負担が大きくなる。
ベニヤ板を面で貼る工法との相性を含めて、施工は工務店に確認してもらった。
ただし、この方法は賃貸では使えない
世の中には「賃貸でも壁掛けできる」とうたう、ピンで石膏ボードに固定するタイプの商品がある。
壁の穴が目立たないという触れ込みだ。
だが注意してほしい。
あれは固定式の金具を前提にしている。
アーム式は支点と作用点の関係で、アームを伸ばすほど壁にかかる負荷が増す。
テレビの重量が壁から離れた位置にかかり、金具を壁から引き剥がす方向に力が働くのだ。
65インチ・20kg級のテレビを、アームを伸ばした状態でピン数本が受け止められるとは思えない。
そして私がやったベニヤ板を貼る方法も、壁にコーキングとビスを使う以上、持ち家だからできることだ。
賃貸で壁掛けを検討している方は、固定式の商品を選ぶか、素直に壁寄せスタンドを使うのが現実的だと思う。
壁寄せスタンドなら壁を一切傷つけず、見た目も壁掛けに近い。
✅ニッチ埋め込みで固定式を選んで苦労した話は👇こちら
下地がない壁に壁掛けするときのポイント
私の実践から、押さえておきたい点をまとめておく。
①下地チェッカーが効きにくい壁がある。 ネオマフォームの断熱材の上貼り工法や防音対策でボードを既存壁に2重にベタ貼りしている壁では、下地があっても位置を特定しづらいことを知っておく
②「下地が探せない=壁掛けできない」ではない。 ベニヤ板を面で貼るという選択肢がある
③ 板の厚みは15mm以上。 薄いとビスが効かない
④コーキングを接着剤として使う。 広い面積なら乾燥後の保持力は十分(※工務店談)
⑤念のためビス止めも併用する
⑥金具はアーム式。配線メンテナンスまで考えれば一択
⑦ 施工は必ず工務店・専門業者に依頼する。 20kgのテレビが落下すれば大事故になる。
我が家も板の支給までが自分の役割で、施工はプロにお願いした。
今から選ぶなら:世代を比較して「型落ち」を狙う低反射REGZA有機ELテレビ
私が購入したX8900Lは2022年モデル。
REGZAの有機ELはその後、X8900N(2024年)を経て、現行はX8900R(2025年〜)まで進んでいる。
つまり私のテレビは、現行から数えて2世代前ということになる。
• X8900R(現行):最新の映像エンジン・AI機能を搭載。価格は当然一番高い
• X8900N(1世代前):2024年発売。すでに型落ち扱いで、価格がこなれてきている
• X8900L(2世代前・私のモデル):2022年発売。在庫処分クラスの特価で出ることがある
ここまで読んでもらえば分かる通り、この記事は最初から「型落ちを狙う」ことを勧めてきた。
型落ちの利点は単純だ。
有機ELパネルの基本性能(黒の締まり、自発光ならではの表現力)は世代が変わっても大きくは揺るがない。
差が出るのは主に映像エンジンの処理精度やAI機能、動画配信への最適化といった部分で、「映画を大画面でじっくり観る」用途なら、型落ちで十分すぎるほど恩恵を受けられる。
なので、コスパの良いおすすめは、現行のR型番に飛びつくのではなく、1〜2世代前のN・Lをセール時に狙うことだ。
型番を1つ2つ落とすだけで、価格は大きく下がる。
私自身、それで65インチへのサイズアップを実現できた。
予算に余裕があり、最新のAI機能や画質処理まで求めるなら現行のR型番を選べばいい。
だが「今より大画面で映画を楽しみたい」なら、型落ちのN・Lを狙う方が、同じ予算でワンランク上のサイズに手が届く。
私はこの記事を通して、その考え方を伝えたい。
現行品を買っても、3年経てば3年落ちに、5年経てば5年落ちのモデルになるので、心配ない。
まとめ
「下地の位置が分からないから壁掛けは無理」と諦めていた方に、この方法を知ってほしい。
ベニヤ板を面で貼るという発想の転換で、下地探しに縛られずに壁掛けができる。
施工はプロに任せるとしても、この選択肢を知っているだけで相談の入り口が変わる。
しかも今回は、引っ越し業者にテレビを壊されるという不運から始まって、結果的に55インチ→65インチへのサイズアップにつながった。
型落ちモデルを狙えば、有機ELでも手が届く。
視聴距離300cmに65インチ。
公式より1サイズ上げた判断も、映画を観る部屋としては大正解だった。

✅リビングのサラウンド配線での失敗と教訓は👇こちら
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✅AVアンプの活用については👇こちら
✅間接照明でオーディオルームの雰囲気を作った話は👇こちら
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【もくじ】
- 発端:引っ越し業者にテレビを壊された
- 型落ちを狙って、55インチ→65インチへサイズアップ
- 視聴距離300cmに65インチという判断
- なぜ壁掛けにしたのか
- 本題:下地がない壁にどう掛けたか
- 金具はアーム式一択だった
- 下地がない壁に壁掛けするときのポイント
- 今から選ぶなら:世代を比較して「型落ち」を狙う低反射REGZA有機ELテレビ
- まとめ





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