自作カースピーカーで高音質なBGMをめざすカーオーディオ
趣味のホームオーディオやAVサラウンドシステムのスピーカーは、自作したものを長年こだわて使ってきたが、カーオーディオにまではなかなか手が回らなかった。
ホームオーディオは、左右2本のスピーカーの真ん中の延長線上にあるリスニングポジションに座って音楽を正面から視るように聴く。
しかし、カーオーディオの場合はドアにスピーカーが埋め込まれていて、足元から音が出ている。
カーオーディオを運転席で聴くとなると、ホームオーディオではありえないほど、右(もしくは左)スピーカーの真横にリスニングポジションをとることとなる。
この状態で高音質で音楽を聴くということは、そもそも無理があるのではないだろうか?
いっそうのことカーオーディオには音の定位を求めず、割り切ってBGM(バックグラウンドミュージック)に徹することとした。
その結果、とんでもなく高音質に鳴ってくれた!
ドアスピーカーという呪縛を解いたカーオーディオは、まさに最高のバックグラウンドミュージックに変身したのであった!
【もくじ】
昔よく見かけたカースピーカー
30数年以上前の自家用車といえばセダンが多く、後部座席の頭の後ろとリアガラスの間が台のようになっており、その上に左右独立してスピーカーが置かれていた。
最近はあまり見かけないが、昔は多少カーオーディオに凝っている人は、”carrozzeria” などのカーオーディオブランドのロゴが入ったスピーカーがリアガラスから外に見えるように置かれていたのが懐かしい。
家には車はなかったが、車好きの叔父が週末に私を車に乗せて遊びに連れていってくれたのでよく覚えている。
日産サニーの後部座席の後ろに置いてあるスピーカーからは、長渕剛や吉田拓郎などのフォークソングが流れいたのを薄っすらと覚えている。
私がまだ子供だったので、音の良し悪しについて気にはしていなかった。
頭の後方から流れてくる当時の流行り音楽は、私にとっていつもの日曜日のBGMだった。
BGM用のカースピーカーを自作
日産ノートに乗る前は、ホンダのステーションワゴンに乗っていた。
ホンダのステーションワゴンのカーオーディオは純正のままで、ディーラーオプションのカーナビと純正ドアスピーカーという組み合わせだった。
CDなどを聴きながら運転していたが、周波数レンジは狭いし、音もこもっている。
おまけに逆相成分がドアの内張りのすきまから漏れているのか?位相ズレが気持ち悪く、音楽を聴いていて全く楽しくなかった。
音量を上げるとドアの内張りは共振するし、ユニットから出る音も歪んでいた。
そこで、叔父の車のスピーカーを思い出した。
そうだ!ドアからスピーカーを開放しよう!
ステーションワゴンはセダンと違い、後部座席の後ろには仕切りがなく十分なスペースが有る。
だからといって、小型スピーカーを置いても後部座席に遮られて、こもった音しか聞こえないだろうし、大きなスピーカーでは場所を取り過ぎて荷物が入らなくなる。
このスペースを荷物で満杯にして走ることはほとんど無かったので、中型くらいのスピーカーを置くことを思いついた。
中古のスピーカーを買おうとヤフオク!などで手ごろなスピーカーを物色していたが、なかなか良いサイズ感のものがない。
そこで、せっかくなのでカースピーカーも自作することにした。
「長岡鉄男氏のスピーカー工作全図面集」を見ながら良さそうなヒントになるものは無いかとパラパラとページをめくっていると、「DB-9」というダブルバスレフタイプのスピーカーが目に留まった。
その説明には、「超ローコスト・アンサンブルタイプ。低域は雄大、多くの10cmフルレンジ、ウーファーが使用可。」と長岡氏が書かれていた。
実際に作った写真が残っていないのは残念だが、大体の寸法はW820mm×H560mm×D190mmほどの箱で、左右一体型スピーカーとなっており、第一キャビネットは左右独立して第二キャビネットへ向かってバスレフポートがあり、第二キャビネットで1つになり、1つのバスレフポートから左右の低音が混ざって出てくる仕組みになっている。
本来は広い側面の左右の上方左右にユニットを取り付ける設計となっているのだが、私はそれをアレンジして、細い面の天板の左右にユニットを取り付けるようスピーカーユニットの開口穴を設けた。
要するにスピーカーユニットを上向きに取り付けるように設計を変更したのだ。
*こんな感じだが伝わっているかな?
本来ダブルバスレフタイプの箱と相性の良いユニットは、強力なマグネットでありながらあまり能率が高くないフルレンジやウーファーが良いと言われていたが、後部座席の真後ろで上向きに音が放射されるので多少高音寄りのユニットのほうが運転席で聴くにはその方が良いと考えた。
ただ非力なマグネットではダブルバスレフを駆動仕切れないと思ったので、当時フォステクスからでていた、12cmフルレンジのFF125というバックロードホーンにも使えるユニットを選んだ。
★FF125は既に廃盤になっているが、今使うとしたらこのWK125あたりか?
バックロードホーンを作ることから考えれば、時間も労力もさほどかからなかった。
15mmのラワン合板で安く済ませて、仕上げはスピーカー本体の形が単純なのでダイノックシートを貼った。
仕上げは好みに応じて塗装をしても良い。
いずれにせよ合板のままより仕上げをしたスピーカーは数倍音質が向上するので騙されたと思ってやってみて欲しい!
スピーカーやアンプのネジを外して、箱の中を見たり防振対策をしたりしたことあったが、車については内貼りを剥がしたり、オーディオナビとの配線などどうしていいのやら全く解らない。
オーディオマニアが車に詳しいとは限らない。
これは誰かの力を借りるしかない。
ちょうど車検のときを狙って、ついでにディーラーにスピーカーの結線を頼んだ。
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スピーカーターミナルなど付けず、長めのスピーカーケーブルを直接スピーカーユニットにハンダ付けしてスピーカー本体から長いケーブルを直に出した状態で、カーナビから後部座席の左右ドアスピーカーに来ている線と繋げてもらうこととした。
言い忘れていたが、このスピーカーの作成後は家のオーディオシステムに繋いで事前に試聴している。
12cmフルレンジユニットにも関わらず、長岡鉄男氏の図面集の言葉どおり、雄大な低音が下の方まで鳴っており空気感さえ感じられる程だった。
ダブルバスレフが充分効いているのが直ぐに分かる。
中高音も強力なユニットがゆえシャープで切れの良い爽快な音がしていた。
話はそれるが〜
フォステクス は小型のリーズナブルなダブルバスレフのスピーカーの箱を発売している。
以前、私の家のサブシステムにも導入して何種類かユニットを取り付けて楽しんでいた。
もうフリマで売ったが、これを購入していただいた方は、受け取りのメッセージで「とても小口径ユニットとは思えない低音!音の分解能が良く驚いた」と大変ご満足されていた。
これは、私が手を加えてサブバッフルをつけたり、内部配線を交換した事も影響していると思うが、ダブルバスレフの基本性能が良いからだと思う。
バックロードホーンとは違うダブルバスレフにはダブルバスレフの魅力がある。
〜話は戻る
車検が終わり、車を引き取りに行くと、ディーラーは私の自作のアンサンブルスピーカーを後部座席裏にある金具と荷物用固定ベルトで倒れないようにしてくれていた。
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後部座席の後ろに設置しているのが自作ダブルバスレフスピーカー(DB-9改?)
(注:オレンジの矢印は気にしないでください。)
早速カーナビにCDを入れて曲を聴くと、音が出た瞬間びっくりした!!!。
流石に運転席に座ると音は後方から聞こえるのは仕方ないが、そんな事はどうでも良くなるほど高音質に鳴ってくれた。
ドアに埋め込まれているスピーカーとは雲泥の差で、ワイドレンジで高音質なコストパフォーマンス抜群のカースピーカーに仕上がった。
このスピーカーを高速道路で爆音でマイルス・デイビスのジャック・ジョンソンというアルバムの強烈なギターとベースが気持ちいい曲を鳴らしてみたが、全然音が崩れない。
普通の音量にしても細かい音も結構聴こえてくるので、このスピーカーのお陰で渋滞も退屈せずに済んだ。
残念だがこのスピーカーは車の買い替えで、下取りに出したときに一緒に手放してしまった。
乗り換えた車が小型ハッチバックで、後部座席後方のスペースが狭くてこのスピーカーを置く事が出来ず諦めてしまったのだ。
もし手元に残しておけば、今でも家で遊べたと思う。
スピーカーを作るのが面倒な人は、市販のスピーカーでも良いが、なるべくならスピーカーユニットのエッジはウレタンではなく、ゴムやテキスタイルのものを選んだほうがよいと思う。
車の中は気温の高低差が激しいので、ウレタンエッジだと劣化が進みやすいからだ。
ホームオーディオには凝っているが、カーオーディオまで手が回らない(届かない?)方は、安くて確実に高音質になる方法として、ドアからスピーカーを開放しカーオーディオをBGMと割り切って、一度手持ちの余っているスピーカーや中古スピーカーを買って試してみてはいかがだろうか?
2021年9月30日更新
2020年2月1日初回投稿