車の中も高音質
ホームオーディオとの違い
ホームオーディオやAVシステムは自作スピーカーなどがあり、長年の間こだわてきたが、カーオーディオまでは正直手が回らない。
そもそもドアにスピーカーが埋め込まれていて、足元から音が出ている。
運転席はホームオーディオのリスニングポジションとしては、考えられないポジションだ。
これを高音質で聴くというのは無理がある。
昔よく見かけたカースピーカー
幼いころ親戚の叔父は車好きで車検の有るたびに乗り換えていた。
その車はセダンばかりだったが後部座席の頭の後ろに左右にスピーカーが置かれていたのを覚えている。
最近はあまり見かけないが、昔は多少カーオーディオに凝っている人はcarrozzeriaとかのロゴが入ったスピーカーが置かれていたものだ。
この方が、ドアの振動から開放され車内に心地よく広がると思う。
カースピーカーを自作した
私は以前、ステーションワゴンに乗っていた。
普通のディーラーナビに純正のドアスピーカーでCDをなどを聴きながら運転していたが、周波数レンジは狭いし、こもっているし、逆相の音も気持ち悪く、聴いていて楽しくなかった。
スピーカーを移動したくても出来ない。
そこで、先程語った叔父の車のスピーカーを思い出した。
そうだ!ドアからスピーカーを開放しよう!
ステーションワゴンはセダンと違い、後部座席の後ろには十分なスペースが有る。
まずこのスペースを満杯にして走ることは無かったので、スピーカーを置くことを思いついた。
かと言って、小型スピーカーを置いても後部座席に遮られて、こもった音しか聞こえないだろうし、かと言って背の高い3wayスピーカーを置いても同じことだろう。
と言うことでスピーカーを自作することにした。
「長岡鉄男氏のスピーカー工作全図面集」を見ながら良さそうなヒントになるものは無いかとパラパラとページをめくっていると「DB-9」というダブルバスレフタイプのスピーカーが目に留まった。
その説明には、「超ローコスト・アンサンブルタイプ。低域は雄大、多くの10cmフルレンジ、ウーファーが使用可。」と書かれていた。
写真が残っていないのは残念だが、大体の寸法はW820mm×H560mm×D190mmほどの箱で、左右一体型スピーカーとなっており、第一キャビネットは左右独立して第二キャビネットへ向かってバスレフポートがあり、第二キャビネットは1つで左右の音が混合して1つのバスレフポートから低音がでてくる仕組み。
本来は広い側面の左右の上方にユニットを取り付ける設計となっているのだが、私はそれをアレンジして、細い面の天板の左右にユニットを取り付けるようスピーカーの開口穴を設けた。
*こんな感じだが伝わっているかな?
要するにスピーカーユニットを上向きに取り付けるように設計を変更したのだ。
本来ダブルバスレフタイプの箱と相性の良いユニットは、強力なマグネットでありながらあまり能率が高くないフルレンジやウーファーが良いと言われていたが、後部座席の真後ろで上向きに音が放射されるので多少高音寄りのユニットのほうが運転席で聴くにはその方が良いと考えた。
ただ非力なマグネットではダブルバスレフを駆動仕切れないと思ったので、当時フォステクスからでていた、12cmフルレンジのFF125というバックロードホーンにも使えるユニットを選んだ。
★FF125は既に廃盤になっているが、今使うとしたらこのWK125あたりか?
バックロードホーンを作ることから考えれば、時間も労力もさほどかからなかった。
15mmのラワン合板で安く済ませて、仕上げはスピーカー本体の形が単純なのでダイノックシートを貼った。
スピーカーやアンプのネジを外して、箱の中を見たり防振対策をしたりしたことあったが、車については内貼りを剥がしたり、オーディオナビとの配線などどうしていいのやら全く解らない。
これは誰かの力を借りるしかない。
ちょうど車検のときを狙って、ついでにディーラーにスピーカーの結線を頼んだ。
スピーカーターミナルなど付けず、長めのスピーカーケーブルを直接スピーカーユニットにハンダ付けしてスピーカー本体から長いケーブルを直に出した状態で、カーナビから後部座席の左右ドアスピーカーに来ている線と繋げてもらうこととした。
言い忘れていたが、このスピーカーの作成後は家のオーディオシステムに繋いで事前に試聴している。
12cmフルレンジユニットにも関わらず、長岡鉄男氏の図面集の言葉どおり、雄大な低音が下の方まで鳴っており空気感さえ感じられる程だった。
ダブルバスレフが充分効いているのが直ぐに分かる。
中高音も強力なユニットがゆえシャープで切れの良い爽快な音がしていた。
話はそれるが〜
フォステクス は小型のリーズナブルなダブルバスレフのスピーカーの箱を販売している。
以前、私の家のサブシステムにも導入して何種類かユニットを取り付けて楽しんでいた。
もうフリマで売ったが、これを購入していただいた方は、受け取りのメッセージで「とても小口径ユニットとは思えない低音!音の分解能が良く驚いた」と大変ご満足されていた。
これは、私が手を加えてサブバッフルをつけたり、内部配線を交換した事も影響していると思うが、ダブルバスレフの基本性能が良いからだと思う。
バックロードホーンとは違う魅力が、ダブルバスレフにはある。
〜話は戻る
車検が終わり、車を引き取りに行くと、ディーラーは自作のアンサンブルスピーカーを後部座席裏にある金具と荷物固定用ベルトで固定し倒れないようにしてくれていた。
後部座席の後ろに設置しているのが自作ダブルバスレフスピーカー(DB-9改?)
(注:オレンジの矢印は気にしないでください。)
早速カーナビにCDを入れて曲を聴くと、音が出た瞬間びっくりした!!!。
流石に運転席に座ると音は後方から聞こえるのは仕方ないが、そんな事はどうでも良くなるほど高音質に鳴ってくれた。
ドアに埋め込まれているスピーカーとは雲泥の差で、ワイドレンジで高音質なコストパフォーマンス抜群のカースピーカーに仕上がった。
このスピーカーを高速道路で爆音でマイルスデイビスのジャックジョンソンという強烈なギターとベースが気持ちいい録画の曲を鳴らしてみたが、全然音が崩れない。
普通の音量にしても細かい音も結構聴こえてくるので、このスピーカーのお陰で渋滞も退屈せずに済んだ。
残念だがこのスピーカーは車の買い替えで、下取りに出したときに一緒に手放してしまった。
乗り換えた車が小型ハッチバックで、後部座席後方のスペースが狭いので、このスピーカーを置く事が出来ず諦めてしまったのだ。
手元に残しておけば、今でも家でも遊べたと思う。
スピーカーを作るのが面倒な人は、市販のスピーカーでも良いがなるべくならスピーカーユニットのエッジはウレタンではなく、ゴムやテキスタイルのものを選んだほうがよいと思う。
車の中は気温の高低差が激しいので、ウレタンエッジだと劣化が進みやすいからだ。
ホームオーディオには凝っているが、カーオーディオまで手が回らない(届かない?)方は、安くて確実に高音質になる方法として、ドアからスピーカーを開放してみる事を検討してみてはいかがだろうか?
2020年2月1日