メインスピーカーの吸音材を交換した。
・スーパースワンとは
20年以上前からの付き合いであるスーパースワン 。
オーディオ評論家の長岡鉄男氏の設計したスピーカーの中で、最も傑作のスピーカーの一つだ。
実はスーパースワンの前身は、スワン と言うスピーカーで、フォステクス FE108シグマと言うユニットを使って設計している。
スピーカーは点音源が理想的とした場合、小型にすると低音が出ない。
そこでユニットの裏側から出る音を活かして、低音を増幅するという発想のもと設計されている。
氏はそれ以前、バックロードホーンは20cmや16cmのフルレンジで設計しているがいずれも大型でかつスーパーツイーターを追加して使うものだった。
スワンは10cmフルレンジ一発で高音から低音までしかも点音源でという挑戦のもとできた傑作スピーカーだ。
スワンというネーミングは、水鳥の白鳥のこと。
ユニットが設置されていヘッド部分、これはバックロードホーンでいえば空気室とう。
ユニットの裏側から空気室に放たれた音は、スロートといい、白鳥でいうと首の部分を通って胴体部分に達する。
胴体部分の中は、迷路のようになっており末端の開口部に向かうに従って、音の通り道が広がっていく。
この構造により音が拡大される。
トランペットなどホーン楽器は、音の出る開口部のベルに向かって徐々に菅が太くなっている。
バックロードホーンスピーカーはス低音を伸ばそうとするとホーンの距離が必要で、ペース的に2〜3mものホーンをスピーカーにまっすぐに付けるわけにいかないので、実用上ホーン部分を折り返しながら広がっていく工夫がなされている。
ホーンが何回か折り返されているうちに高音も減衰する。
ホーン開口部からは低音がでて、空気室いわゆる白鳥の顔の部分であるヘッドに取り付けたユニットの音と合わせてて耳に届くこととなる。
長岡鉄男氏はこれを夢で見て設計を思いついたと言うのだから、いつもスピーカーについてアイデアを考えていた事がよく分かる。
・スワンからスーパースワンへ
スワン以降、フォステクス のFE108superと言うバックロードホーンスピーカーに特化したユニットが出るのだか、そのユニットが超強力磁気回路な為に専用のスワンの設計がなされた。
それで出来たのがスーパースワンだ。
スーパースワン のユニットはフォステクス から出ているFE108シリーズの限定モデルだが、FE108super⇒FE108ES⇒FE108 ESⅡそして FE108sol と販売されてきた。
確か長岡鉄男氏はESが出た後にお亡くなりになっているので、108ES2 や108solについては当然だが、長岡鉄男氏による専用スーパースワンの箱は設計されていない。
他の自作マニアの方が、ユニットの特性を活かして設計を見直しされているが、私はユニットを変えても箱はスーパースワン のままだ。
確かに新しく開発されたユニットは以前には無い良さが有るが、スーパースワンは108super用に設計された箱なで、相性はやはりFR108superが一番だと思う。
・スーパースワンの使いこなし
私は歴代のFE108シリーズ限定ユニットが出るたびにスーパースワンに使ってきており現在FE108solが付いている。
ケーブルの交換や鉛粒やジルコンサンドや吸音材の調整やインシュレーター、塗装仕上げと色々改善してきた。
・吸音材を交換する。
やっと本題だが、吸音材については、粗毛フェルトや脱脂綿、ミクロンウール、
ウレタンスポンジ、さらに吸音材をブチルゴムテープで貼り付けるなどあらゆる事をやってきた。
これはやりだすとキリが無く正解も無い。それぞれの部屋や装置などの環境や音楽によって左右される。
スーパースワン を塗装したら何倍も音質が良くなったので、しばらく満足していた。
しかしこの間の記事に書いたが、スーパースワン の胴体のデッドスペースに砂利から鉛粒とジルコンサンドに入れかえて音質が良くなったので、次はユニットにブチルゴムで対策した。
その時、吸音材が気になった。
ユニットを外すと中は、過去に幾度となく吸音材を接着したボンドやブチルゴムゴムの跡で相当汚い。(閲覧注意?)
内部の塗装も考えたが、どう考えても作業が上手くいくと思えない。
★吸音材を変えてみる事とした。
以前から気になっていたのがウールの吸音材だ。
なにやら説明にも良さそうな事が書いてある。
そう高いものでも無いので早速発注した。
届いたものを見るといかにも天然素材で真っ白に漂白されたものではなく、
自然な色合いだ。
今まで市販の吸音材は、スーパースワン のような小型の箱に入れるには分厚くて自分で割いて適当な厚みにして使っていたが、均一な厚みにはならないため、かなり適当だった。
今回の吸音材は薄く使い勝手が良さそうだ。
◆早速ハサミで切り、スーパースワン のユニットを外しユニットの背面の奥に一枚貼り付けた。
ユニットを取り付け、音を出した瞬間ノラジョーンズのボーカルが耳をつん裂く。
こらあかん!
◆直ぐにまたユニットを外し、
今度は側面の片面にもう一枚貼り付けた。
大体スピーカーの吸音材はユニットの後ろか対向面の片側に貼るのが基本なのでそれを試してみた。
またユニットを取り付け曲を流す。
さっきよりノラジョーンズのボーカルもマシになり、ほかのアーティストの曲も聴いたが、確かに低音域など今まで聴き取れていなかった音に気づかされる。
しかし、何か面白くない。
バックロードホーンのインパクトのある押し出しの強さが薄れているし、左右のスピーカーとの繋がりもあまり良くない。
これは、過去に何度か経験しているが、私のスーパースワンの場合だけかもしれないが、空気室いわゆるユニットが入っている箱の側面に吸音材を貼ってもあまり良い結果になった事が無い。(あくまでも私の場合)
今までも何度も、側面に貼っては剥がしの繰り返しで、結局剥がしている。
◆そこで、ユニットの後ろに貼った吸音材の上から、
もう1枚重ねて2重貼りにしてみた。
ユニットを取り付け、同じ曲を聴く。
これは良かった!
低音も深くなり、左右の音場の繋がりもよくなった。
今回使った吸音材だが、確かに羊毛という自然素材からくるのか、貼る場所による変化も明確に出ており吸音材としてよく効いているのだと思う。
自然素材だと言って優しい音をイメージしがちだが、意外と元気な音が出ている。
気のせいかアンプのボリュームは一定にしてテストしていたのだが、音量がアップして聴こえる。
吸音材は素材も大事だが、適量を適所に貼る事が重要だとつくづく思う。
その点、最近のメーカー品はコンピュータ解析して適量適所に吸音材を貼って測定しながら作っている。
自作スピーカーマニアで、そこまで出来る環境やノウハウがある方は珍しい。
ほとんどのマニアは、私のように手探りで何度もテストを繰り返していると思う。
吸音材の交換は、簡単なようでユニットの脱着は神経も使うし、リスニングポジションとスピーカーを行ったり来たりで結構疲れる。
気がついたら外が真っ暗になっていた。
夜は手塩にかけた自作スピーカーでゆっくりと音楽を聴く事にしよう!
仕事が休みで一日中家にいたが、なんか疲れてしまった。
他にもオーディオの使いこなしについて、いろんな記事を書いているので少しでもお役に立てれば幸いだと思ってます。
2020年2月3日