マトリックス・スピーカーは、AVアンプ不要の積極的な音場再生の手法
一般的にステレオ録音は、左右2本のスピーカーで2chステレオ再生することが想定されている。
一方、ドルビーデジタルサラウンドはの基本は5.1chの記録方式で、左右のスピーカーL・RとセンタースピーカーCと左右のリアスピーカーのSL・SRとLFEというを独立して記録されている低音のみを再生するサブウーファー(0.1ch)で構成されているスピーカーで再生することが前提となっている。
しかし、2本のステレオ再生でもセッティングに苦労を伴うのに、多数のスピーカーをセッティングするスペースや使いこなしはなかなか大変なものがある。
そのためか、最近はテレビ用の2.1chや3.1chサラウンドや、サウンドバーなどが方が人気のようだが、これらはいわゆる疑似サラウンド再生していることとなる。
実は、疑似サラウンド再生は今に始まったことではなく、ドルビーサラウンドが始まる前から使われている手法だったりする。
今回はAVアンプを使わずとも、プリメインアンプで結線する方法を変えるだけで広大な音場再生が実現できるというMX(マトリックス) スピーカーによるサラウンド再生の方法をご紹介しよう。
ソースによるが、低予算でハイクオリティーなサラウンド再生が実現するのでオーディオマニアの方でなくても一度は体験してみて欲しいと思う。
【もくじ】
3つのユニットで構成されるMXスピーカー
「4本マトリックスサラウンドからの脱却」というタイトルの記事を書いたのに、今回はマトリックススピーカーをすすめるのか?
MX(マトリックス)スピーカーも長岡鉄男氏の設計のもので前回の4本マトリックスサラウンドとは結線の仕方が異なる。
MXスピーカーの一番シンプルなものは、同一エンクロージャーに3本のスピーカーユニットを納めるもので下の図のように、左チャンネル「1」のユニットは2LーR、センターチャンネル「3」のユニットはL+R、右チャンネル「R」のユニットは2RーLとなる。
4本マトリックスサラウンドの場合は、ジャズなどの曲で左スピーカーにトランペット、右スピーカーにサックスなど明確に振り分けた録音の場合でも左右の差信号はモノラルになる為サラウンドスピーカの左右はそれぞれの楽器の位置のように分離せず頭上あたりに音が来てしまう。
MXスピーカーは、図のようにセンタースピーカーの「3」がありL+Rの信号が発せられている。
原理を単純に説明すると左スピーカー「1」の音とセンタースピーカー「3」の音を正面のリスニングポイントから視てみた場合、耳に到達する音を算数の式で表すと以下のようになる。
①左の耳には主に「1」+「3」・・・いわゆる(2LーR)+(L+R)=3Lの信号が入ることとなる。
②右の耳には主に「2」+「3」・・・いわゆる(2RーL)+(L+R) =3Rの信号が入ることなる。
③又、左のスピーカーは2LーRを式で別の表し方をすると L+(LーR)となりL-Rという差信号が発せられている事がわかる。LーRの信号は前回記事の4本マトリックススピーカーのリアスピーカーから再生される差信号と同じく音場やエコー成分でありサラウンド効果が再生される。(右スピーカーも然りR-Lのサラウンド信号が発せられる。)
上記①②の説明は左耳にRチャンネルの音が打ち消されてLチャンネルの音だけが届けられ、右耳にLチャンネルの音が打ち消されRチャンネルの音だけが届けられるのだ。
上記③の説明は差信号であるサラウンド成分も発せられる事となり、ユニットが45°程斜めに振って取り付けられてる為、部屋の反射音を積極的に利用できサラウンド効果が増すのである。
【MXスピーカーの例】
MX-14(10cmスピーカーユニット3本と言う基本的なもの)
MXー20AV(8cmスピーカーユニット3本で構成され、薄型にすることでブラウン管テレビとTVラックの間に挟んで使うよう設計されている。)
私は上の写真のMX-20AVを29インチブラウン管テレビの時代から使っている。
このスピーカー1台でサラウンドが実現し効果抜群だった!
人に何も言わずに聴かせると”音がスピーカーから離れて右側や手前から聞こえる?”とか”後ろにスピーカーあるの?”とか不思議そうにしてるのを観るのも楽しみだった。
<発展型の5本マトリックス>
4本マトリックスサラウンドと同じく普通のプリメインアンプで以下の図のような結線の仕方となる。右側の図が上記で説明してきたMXスピーカーの基本的な結線で、左側の図は3本からなるMXスピーカーにマトリックスサラウンドの左右リアスピーカーを増設したものになる。(更にサラウンド効果が強調される)
MXスピーカー は音楽を再生しても違和感が無く、ソフトによってはスピーカーを無視して部屋中に3次元的広大な音場が再生される。
ドルビーデジタルなどサラウンドで収録された映画などは、普通のプリメインアンプ に上記の図のように結線し、このMXスピーカー1台でサラウンド再生が実現出来るのでリアスピーカーを置かなくても良く非常にスペースファクターに優れたスピーカーである。
尚、MXスピーカーを自作せずとも普通のスピーカーが3本あればアナログプリメインアンプ にMX結線することで同様の効果が実現出来る。
一度試してみてはいかがだろうか?
きっとビックリすると思う。
但し、アンプは必ずアンバランスのアナログアンプを使用する事!
バランス回路のアンプやデジタルアンプなどでは故障の原因となるのでMX接続はしないで欲しい。
ちなみに私はDENON のプリメインアンプ PMA-390AE、PMA-2000Ⅱでは問題なかった。
市販で買えるマトリックスMXスピーカーの箱(エンクロージャー)
DIYが得意でない方や木材のカットが面倒な場合は、音工房Zから3本マトリックススピーカーのエンクロージャーが発売されている。
音工房Zの商品は、けっこう安く買えて気軽に試せるのものがあるのでありがたい。
👇エンクロージャー(箱)のみ
取り付けるスピーカーユニットはフォステクスやTangbandなどの8cmフルレンジが使える。
👇ユニット付きも発売されている。
※番外編
(今は普通の結線で使用している)
現在、リビングでは55インチの有機ELテレビを載せてMX-20AVはMX スピーカーとして使用せずに左チャンネル、センターチャンネル、右チャンネルとして使い普通の結線でマランツのAVアンプNR1609に繋げている。
リアスピーカー(スペースの問題でサイドスピーカー)2本とサラウンドバックリアスピーカー1本、更にサブウーファーも追加しドルビーデジタルサラウンドの6.1ch構成としている。
これはリビングで家族も使うので、テレビを着けるたびに別途プリメインアンプも電源を入れないといけないのでMX サラウンドはやめてテレビとの連動性を重視しAVアンプを導入した為だ。
やはりリビングは家族が優先になるのは仕方がない。
◆【逆パターン】MXスピーカーをドルビーサラウンドSPの代用
現在では8cmユニットはフォステクスのFE87からTangband W3-881SJFに変更している。
スピーカーとテレビ台は約70cm幅でピッタリで高さが高くならないように自分でテレビ台の高さをノコギリでカットしている。
もともと29インチブラウン管テレビ用だが、55インチ有機ELテレビを乗せるため、足の幅が70cmで収まるタイプの中からLG製のもを選んで購入した。
MX-20AVは左右のL・Rとセンターの3chを担うことになる。
もしマトリックス・サラウンドが合わない場合は、ドルビーサラウンドにも採用できる。
◆サイドスピーカー 自作オリジナル設計 超トールボーイスピーカー
ユニットはフロントと同じTangband W3-881SJFもの。
◆サラウンドバック(1本のみ)
ユニットは同じで、バスレフ型エンクロージャー P800-Eに取り付け金具でリスニングポジションの後方の天井近くに設置している。
最近はほとんどだサラウンドバックのスピーカーの出番がない。
HDMIケーブルの音質に満足できず、光デジタルケーブルでテレビとAVアンプを接続しているのでドルビーアトモスは再生できず、もっぱらドルビーデジタル5.1chのサラウンドを超高音質で楽しんでいる。
◆サブウーファーaudio-pro Aace Bass
アンプ内蔵型のウーファーでAVアンプのサブウーファー出力端子に接続している。
サブウーファーはAVアンプとRCAケーブルで接続することになるが、このRCAケーブルによって、低音いえどもかなりの違いがあるので面白い。
一般的にはサウンドバーが無難なのか?
2019年12月22日初回投稿
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