ラックスマン製真空管ハーモナイザー・キット
私はオーディオを始めたころには、世にCDが出始めておりレコードプレイヤーを所有したことがない。
したがって音源はFM放送かCDだった。
今はPCオーディオやネットワークオーディオを導入するようになり、CDをリッピングしたデジタルデータ、ダウンロードしたアルバム、サブスクリプションによるストリーミングが主な音源だ。
アナログレコードも真空管アンプも他人の家のシステムで聴いたことはあるものの、いつかは自分のオーディオシステムでじっくり聴いてみたいという憧れを持っている。
ところが快音! 真空管サウンドに癒される 特別付録:ラックスマン製真空管ハーモナイザー・キット がONTOMO MOOKから発売されるということを知り俄然興味が湧いてきた。
これはその名の通りキットで自分で組み立てるもの面白そうだ。
すでに売り切れているが、オークションやフリマでたまに見かける事がある。
早速購入して、その日のうちに組み立てた。
中身はこんな感じ
適合する真空管は12AU7というもの。(ECC82も取り付け可能)
前から見た感じ。
高級感は無いがLuxmanのロゴがいい感じ。
背面は電源ケーブル(メガネタイプ脱着式)とRCA端子(入力と出力)のみ。
キットに付属している真空管。12AU7 CHINA と印字されている。
肝心な音質は・・・?
パイオニアのネットワークプレイーヤーN-70AとLuxmanのプリメインアンプ Lー505uXⅡの間にハーモナイザーを挟んだことによる劣化は感じらなかったが、期待していたほどの音質の変化はなかった。
しばらく様子をみることとした。
その後あまり積極的にハーモナイザーを通して聴こうという気持ちにはならなかったが、ふと真空管を交換してみて何か変化があるかもしれないと思い始めた。
色々物色してみたが私には真空管に対する知識がなさすぎるのでさっぱりわからない。
そこでオークションで比較的安いものを購入してみた。
1本で約3,000円位だったと思うが、それが安く買えたのかどうかもわからない?
◆Amperex アンペレックス Bugle Boy (笛吹童子)
ラックスマンのキット付属のものより明らかに高音質になった。
ワイドで明るく力強くはっきりとした印象。
こんなに音が変わるとは思わなかったので少しびっくりした。
◆12AU7 Mullard ムラード 型番不明。
これに取り替えた途端 ”失敗した!”と思った。
音が小さいし、位相がズレまくっている。
取り外して端子を磨いたが改善せず。
しかし、もしやと思い夜寝る前にハーモナイザーの電源を入れっぱなしにし、次の日仕事に出かけて帰宅後もう一度聴いてみたら、なんと音がまともになっていたのだ!
音質はキット付属のものより柔らかい印象でなんとも言えない独特の雰囲気を醸し出していた。あまり好みの音とは言えないがこれはこれで好きな人はいるのではないか?
それよりもしばらく使っていないあろう真空管の本領を発揮する為には、しっかりとエージングが必要なことを体感できた事が大きな収穫だった。
以上のように3本の真空管だけではっきりと違いが明確になったのは驚きだ。
私のシステムはバランス端子とRCAのアンバランス端子がアンプとネットワークプレイヤーにそれぞれ備わっているので、RCA端子の方にハーモナイザーを経由して繋げ、気分によってダイレクトに再生できるバランス接続と切り替えて楽しんでいる。
しかし、たった1本の小さな真空管でこれだけ音が変わるのだから、真空管アンプのように何本もある真空管で好みの音に調整するのは、さぞかし大変だろう。
いや、だからこそやり甲斐があるだろうなあと思った次第である。
2019年12月23日