仮想同軸スピーカーの音場感は格別!
【もくじ】
パイオニアの仮想同軸スピーカー "バーチカルツイン"
パイオニアの仮想同軸方式のスピーカーは、バーチカルツインと呼ぶ。
S-55TWIN(パイオニアのホームページより)
スピーカーシステムが理想とする点音源実現のために、さまざまな方法が考えられた中で、その音像定位感と広い音場感からバーチカルツイン方式を採用。1987年に世界初の民生用バーチカルツインスピーカー「S-55TWIN」を発表し、その歴史の幕を開けました。時代ごとに最適なデバイスとエンクロージャーを選択することで、一時代を築くとともに、その思想は今に続く進化を遂げています。
【バーチカルツイン】スピーカーの特徴
・ユニットが垂直配列されている。
・ツイーターを上下2つのウーファーで挟む。
ユニットが3つ配列されている2wayのマルチスピーカーだが、バーチカルツインは点音源思考から来ている。
点音源という理想
スピーカーは、1点から音が発せられる点音源が理想と言う考え方がある。
タンノイの伝統的なスピーカーユニットには、ウーファーやミッドレンジの真ん中にツイーターが埋め込まれている。
これは、デュアルコンセントリックというユニットで、ツイーターがウーファーユニットの中心に奥まって設置されている事で、ウーファーと相互の位相の統一まで図っているというもの。
パイオニアのアプローチ
パイオニアはタンノイとは違ったアプローチで、ユニットの配列によって理想的な点音源を実現しようと試みた。
冒頭の写真のバーチカルツイン・スピーカーS-55TWINは、発売された80年代後半、当時のオーディオ雑誌でも絶賛されていたスピーカーだった。
各メーカーが30cmウーファーとスコーカーとツイーターからなる3way中型ブックシェルフスピーカーでしのぎを削るなか、バーチカルツインで勝負に出たパイオニアの企画は大当だったと思う。
パイオニアからバーチカルツインスピーカー S-55TWINが発売されてから、オーディオショップで何度か音を聴いた。
しっかりとスピーカースタンドを使って、空間にゆとりのあるセッティングがされていると、とても小型のスピーカーから鳴っているとは思えない程のスケール感があった。
そしてスピーカーから遠く離れていても、ユニットの反応が良いため、音が軽やかに聴き手の方に飛んでくる。
凝縮された音像と言うよりも、楽器の響きや空間に広がる音場感豊かな表現が見事だった!
最近の仮想同軸スピーカー
海外でも同様の方式があり、興味深いスピーカーが日本に来ている。
先日、ファイン・オーディオのバーチカルツインタイプのトールボーイスピーカーF303を試聴したが、とてもスムーズな音で鳴っていた。
バーチカルツイン方式の仮想同軸スピーカーは、ツイーターが低い位置にあるためテレビの横にセッティングすると画面の中心線にツイーターが近づくので、画像とのマッチングが良いのもメリットの一つだ。
【仮想同軸スピーカーのメリット】
・音場感の良い!
・音離れが良い!
・スムーズな音のつながり!
・2wayなのでフルレンジ1発よりワイドレンジ!
・ツイーターが低い位置なので、テレビ用スピーカーに最適!
【仮想同軸スピーカーのデメリット】
・リスニングポイントまでの距離が必要(至近距離は不向きかも?)
・音が柔らかく響くので、音の輪郭重視の方には不向きかも?
・ツイーターを耳の高さに合わせると背が高くなる(見た目の圧迫感)
ツイーターの上下をウーファーが挟む形になるので、至近距離の視聴では音像がやや大きめになるが、適度な距離で聴ける環境であれば仮想同軸スピーカーで仮想現実の世界が味わえるかも知れない!
2021年9月25日(更新)
2020年3月15日(初回投稿)