オーディオもボーカルもセンターポジションを摂るのが難しい!
リスニングポジションが狂うとボーカルの定位が視えてこない!
前回の記事でオーディオというものは「音は視るものだ!」という話をしたが、左右のスピーカから耳に届く音が極端に違うと音の定位が狂い、センターに定位するはずのボーカルや楽器の音を視ることできない。
定位を改善するためには、スピーカーのセッテイングやルームチューニングで、壁などの反射音をできるだけ左右を同一条件にすることが望ましい。
しかし、そんな大掛かりな事をする前に一度確かめてみたい事がある。
ボーカルが左右のスピーカーのセンターに定位しないのは、実はリスニングポジションが間違っているかもしれないからだ。
リスニングポジションのセンターが狂うとどうなるのか?
・左右のスピーカーの真ん中にボーカルが定位しない。
・モノラル録音のはずなのに、楽器(ジャズトリオならトランペットやサックスの音)が左や右に寄って聞こえる。
・上下左右に音が広がらない。
・音の奥行きが感じられない。
・スピーカーに音がへばりついている。(音離れが悪い。)
など気になりだしたら落ち着いて音楽に集中できない。
音を視るということは、結構神経を使うものである。
ソファーや床に寝転がって本を読みながら音楽浸るのも良いが、スピーカーと向かい合い、音を視ようとするならば、リスニングポジションがセンターにピシッと決まっている必要がある。
左右のスピーカーがバラバラな音の場合というのは、例えば左chのスピーカーが小型スピーカーで、右chのスピーカーが大型スピーカーを設置しているような感じになる。
アンプにはバランスつまみというものが備わっていることが多いが、これは左右の音量バランスのみを補正しているに過ぎない。
低音から高音まで統一して右寄りや左寄りに定位しているのであれば、アンプのバランスつまみで解決するのだが、なかなかそう簡単にはいかない。
カーオーディオなんかでタイムアラインメントという言葉を耳にすることがあると思うが、これは運転席からダッシュボードやピラーに設置されたツイーターや左右のドアに埋め込まれたスピーカーなどの時間軸(距離感)を揃える為のデジタル技術である。
サラウンドの多数のスピーカーの距離を測るAVアンプなどもそうだが、カーオーディオでも付属のマイクを使い複数のスピーカーの音量バランスや時間軸を自動的に揃えたりすることができるという。
ピュアオーディオでも、低い音から高い音までの周波数を細かく調整するためにグラフィックイコライザーと言うものがあり、これもマイクで拾った音を自動的に調整できる機能があるが、なかなか思うように補正できない。
過去に私もグラッフィックイコライザーを導入したことがあるが、確かに自分好みの音に調整するということでは大変効果はあるが、音の到達時間が変わるわけではないので定位の改善という意味で根本的な解決には至らなかった。
オーディオで定位に凝り始めたら、闇雲にスピーカーを手探りで動かしてはリスニングポジションに戻って音を聴き、またスピーカの角度を調整してはリスニングポジションに座り音を確かめる・・・という繰り返しを強いられる。
この苦労はオーディオマニアなら解っていただけると思う。
自分のリスニングポジションの癖を知る
自分の癖を人に見てもらうのも良いが、自分の目で確かめると意外なことに気がつく。
スポーツで例えると、ゴルフのスイングを他の誰かにスマホやビデオカメラで撮影してもらいその映像を視てみると自分が思っているスイングとは全く違う動きをしていることに気がつく。
ナイスショットをした本人は、タイガー・ウッズになった気分でスイングしているのだが、自分の写っている動画を見せられると信じられないぐらい不細工で癖だらけのスイングをしていることに初めて気付かされるのだ。
<自分のリスニングポジションの癖を知る方法>
自分のリスニングポジションの癖をリアルに知る方法がある。
以下の①→②の手順で確かめてみよう。
① テレビのある部屋に行き、テレビから約1〜2m位離れて、画面の中心にそって座り、テレビ放送や映画など映像を短時間で良いので観る。
これは必ず先にテレビに映像を映してから、自分の目だけでTVの真正面と思える位置に座ることが重要だ。
②ある程度落ち着いたらその位置に座ったまま、リモコンでテレビを消してみよう。
どうだろう?
自分の姿が消したテレビ画面にうっすら映っていると思うが、本当に画面の中心に自分の姿が鏡のように映っているだろうか?
真ん中と思いきや結構左右のどちらに寄っている事に気づかれたかと思う。
(真ん中に自分の姿が写っているいる方はいるかしれないが・・)
これは右利き左利きと腕のように、目にも効き目があるために起こる現象と思われる。
人は意外と真ん中と思って座っていても、左右どちらかにずれて座っているものなのだ。
正しいリスニングポジションに座る
オーディオルームのスピーカの真ん中にテレビを設置されている方は、自分の姿を画面の中心に来るようにリスニングポジションを見直したほうが良い。
テレビに映る自分の姿が右寄りか左寄りかわかったら、その感覚が忘れないうちにオーディオルームで、リスニングポジションの左右を矯正してみよう!
はじめは違和感があると思うがリスニングポジションを矯正するとボーカルなどがセンターに定まってくることがある。
そうであれば今までリスニングポジションが左右どちらかに効き目のせいで寄っていたことが原因と思われる。
リスニングポジションを矯正した上で、改めてスピーカーの角度などを調整してみると定位の問題が解決する場合がある。
もっと精密に行いたい場合には、右のスピーカーの特定の位置から右耳までの距離をメジャーで測り、左側のスピーカーと左耳も距離を測って微調整すれば良い。
上記の方法はすべての人に当てはまるものでは無いが、テレビのある方であれば簡単に出来る方法なので、定位で悩まれる方は一度試して頂きたい。
私は、これで長年悩んでいたセンターボーカルや楽器の定位のズレを解決することができた。
スピーカーのタイムアライメント
タイムアラインメント は、音の到達時間の調整などに使われる言葉だ。
上記のリスニングポジションを正しい位置にする事は、左右のそれぞれのスピーカーとリスナーとの距離、いわゆるスピーカーから耳に到達する音波の時間差や位相差を調整している事になる。
2way以上の複数のスピーカーユニット同士の時間のズレや、もっと細かく言うと1つのユニットの振動板の中心と周囲との時間のズレも生じる。
こればかりは、スピーカーを製造するメーカーの技術に任せるしか無い。
タイムアライメントに注目したスピーカーとして、リニアフェーズスピーカーというものがある。
ウーファーとツイーターを前後奥行方向でずらして、位相や到達時間を揃えるという試みだ。
古くからB&Wやテクニクスのスピーカーが採用していたと記憶している。
また、タンノイのでデュアルコンセントリンクユニットもウーファー自体の中心奥部分にホーンツイーターを埋め込む形で、同軸の点音源効果とタイムアライメント技術を導入していると言えるのではないだろうか?

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またツイーターのダイヤフラムまでもタイムアライメント調整されているものがあるようだ。
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オーディオメーカーが高度な技術をもって、スピーカーなどの機器を作っている。
そんな精密なオーディオ機器でも、セッテイング次第で良くも悪くも音が変わる。
「人の振り見て我が振り直せ」とよく言われたものだが、オーディオのリスニングポジションの改善は、ゴルフのスイングと同じように「自分の姿を見て我がふり直す」が近道かもしれない。
2020年6月7日 更新
2019年11月30日 (初回投稿)