高音質化のためにスピーカーに直接対策する方法
【もくじ】
最後の手段はスピーカーに直接対策してみる
音の出口スピーカーは、オーディオ装置の中でも音の変化が分かりやすい機器である。
スピーカーなどセッテングを詰めたり、スピーカーケーブルを交換したりしたが、思うように鳴ってくれない場合に、最後の手段としてスピーカーに直接的な対策をするという方法がある。
下記の対策方法は、今まで私が所有しきたスピーカー全てに行ったことではなく、メーカー製のスピーカーもあれば、自作スピーカーに対して行った事も混在している。
どれが正解かはやってみないと分からない。
正解は、音を聴く本人が好みの音と感じることだから。
又、保証期間内でも自分でスピーカーに手を加えると故障した場合に保証が受けられなかったり、修理を断られる事もありうるので自己責任で行ってほしい。
スピーカーの対策方法 メリット・デメリット
それぞれにスピーカーへの対策方法とメリットとデメリットを記している。
前もってデメリットを解っていれば、失敗した時に落ち込まなくて済むと思う。
①スピーカーユニットの防振・その1
防振方法の一つとして、スピーカーユニットのマグネットにウエイトを掛けて振動板の動きを重さで受け止めるという対策方法がある。
(対策方法)
・エンクロージャーからスピーカーユニットを外し、スピーカーユニットの背面のマグネットに鉛や銅などをエポキシ接着剤で貼り付ける。
(メリット)
・低音の芯が明確になる。
・音の立ち上がりが速く切れが良くなる。
(デメリット)
・ウエイトの大きさ分の内容積が奪われて音に歪がでる。
・スピーカーユニットの振動板の裏側から出る音が遮られる。
・エンクロージャーとフレームが密着しなくなる。
②スピーカーユニットの防振・その2
(対策方法)
・エンクロージャーからスピーカーユニットを外し、スピーカーユニットのマグネットやフレームに鉛テープやブチルゴムテープを貼る。
(メリット)
・中高音のキツさが抑えられる。
・音が柔らかく響きが良くなる。
・余分な音が乗らずクリアになる。
(デメリット)
・中高音のアクセントがなくなると、音の面白みにかける。
・音の響きが抑えられすぎる。
③内部配線の防振をする
(対策方法)
内部配線にスポンジテープなどを巻きつけたり、ブチルゴムテープを部分的に巻く。
(メリット)
・音のキツさが取れる。
・中高音が綺麗になる。
・内部配線がエンクロージャーに当たっている場合、擦れ音が減る。
(デメリット)
・音のメリハリや切れがなくなる。
・スピーカーユニット自体の端子に負担がかかる。
(ケーブルが重くなり引っ張られる。)
④シングルワイヤリングをバイワイヤリングに改造する
(2way以上のスピーカーに対して)
(対策方法)
・スピーカーの接続端子を外し、高音ユニットのケーブルを切り取り、スピーカーの背板などから、その高音ユニットのケーブルだけひっぱり出して、高音用としてもう一組のスピーカーケーブルをハンダ付けか圧着端子で接続する。(やる気があれば、高音用の端子を設ける。)
ただし、これはネットワークをバイパスする事では無い。
ネットワークを通りつつ低音と高音のケーブルが並列にスピーカーケーブル接続端子まで来ている事が条件である。
この意味が分からない場合は、手を出さないほうが良い。
なぜならユニットを壊してしまう恐れがあるからだ。
(メリット)
・バイワイヤリングの効果を得ることができる。(逆起電力の影響が少なくなる。)
・高音用と低音用に好みのスピーカーケーブルが使える。
(デメリット)
・中高音と低音の統一感がなくなる場合がある。
・スピーカーケーブルが倍必要になる。
・アンプに負担がかかる場合がある。(ケーブルが倍になる。)
⑤吸音材を見直す
(対策方法)
エンクロージャー内部の吸音材の一部を剥がしてみる。
(メリット)
・音の立ち上がりが良くなる。
・音が明確になる。
・細かい音が聴こえるようになる。
・音の響きが良くなる。
(デメリット)
・音にエンクロージャーの癖が乗る。
・余分な響きが増える。
・箱鳴りがする。(エンクロージャーの共振が増える。)
・元に戻せなくなる場合がある。(立体的に吸音材が貼られていた時。)
⑥吸音材を交換する
(対策方法)
例えば、ウレタンスポンジのような吸音材は劣化している場合があるので、新たに吸音材を用意し取り替える。
(メリット)
・音の響きが良くなる。
・箱鳴りが減る。
(デメリット)
・音のバランスが変わってしまう。(気に入っていた場合。)
・吸音材の量の調整に根気がいる。
⑦エンクロージャーの重量を増やす
(対策方法)
・重い物(鉛のインゴットやレンガなど)をスピーカー内部の底面などに置く。
・重い物(同上)をスピーカーの天板に置く。
(メリット)
・音が明確になる。
・低音の芯が出る。
・低音が伸びる。
(デメリット)
・エンクロージャーの響きがなくなり面白くなくなる。
・エンクロージャーの内容積が変化し音に癖がつく。
⑧エンクロージャーを補強する
(対策方法)
角材や板をボンドや木ネジで取り付ける。
サブバッフルを作って取り付ける。
(メリット)
・低音のダブつきがなくなる。
・高音のキレが良くなる。
・音の輪郭が明確になる。
(デメリット)
・音の伸びやかさがなくなり詰まった音になる。
・音のバランスが悪くなる。
・見た目が悪くなる。
以上が、私が過去に実施したスピーカーへの対策で、成功と失敗を繰り返して知ったメリットとデメリットである。
効果があった対策・効果のなかった対策
若い頃、ダイヤトーンDS-77EXという30cmウ−ファーの3wayブックシェルフスピーカーで試したときは上記の①②④がメリットを活かせていたと思う。
ちなみに一番最悪だったのは、⑧で詰まった音になりデメリットしかなかった。
私の経験ではメーカー製のスピーカーのエンクロージャーは、あまり触らないほうが良いと思う。
エンクロージャーの背板を角材で補強したり、鉛テープを張り巡らせたり、ブチルゴムテープでベタベタにして良かった例がない。
その代わり、自作スピーカーは塗装をしたり、吸音材を変えたり、内部配線を変えたり、ユニットのマグネットを防振したり、箱の防振をしたり、やりたい放題やって結構メリットのほうが多い。
最近のスピーカーに対しては?
現在、メーカー製のスピーカーはメインシステムにトールボーイのaudio pro fs-20でを使っているが、少し大掛かりな対策をしてかなり高音質化ができた。
デメリットよりもメリットが大きく現れたので一度読んで見てほしい。
あとは人間の可聴帯域より上の音を付加して音質を変える方法があるのでこれも面白い。
なぜなら最近のスピーカーはユニットの取り付けビスが露出していないので簡単に外すことが出来ない。やろうと思えば出来るのだろうが、無理をして傷をつけたくない。
昔のスピーカーに対しては?
その点、昔のスピーカーは6角レンチなどでビスを外して簡単にユニットがエンクロージャーから外せた。
結構エンクロージャーの中を見ていると面白いものだ。
オークションやハードオフなどで、昔のスピーカーを購入して音に満足出来ない場合は、上記の対策方法のどれかを試してみると意外と化けるかも知れない。
スピーカに対策する前にやっておくべき事
尚、スピーカーへ直接対策を行う前には、できるだけ先にセッティングを詰めるほうが良い。
なぜならオーディオ機器はセッティングが大切で、振動対策が出来ていないと機器の能力が発揮できないからだ。
オーディオは何をやっても音が変わる。
その音の変化が正しいのか?好みの音なのか?
実際やってみないと解らない。
高音質化の対策は自分の耳を頼りに経験を積んでいくしかないのである。
音質のチェック方法
音の判断のしかたは下の記事を参考にしていただけると良いかと思う。
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2021年5月11日更新
2020年3月28日(初回投稿)
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