オルトフォンのカートリッジ 2M REDと【WEブラックエナメル・シェルリード線】〜知ってしまったビンテージの艶めかしい音〜
すっかり世の中はインターネットの普及で音楽を聴くのもストリーミングする時代。
しかし、最近はアナログレコードの需要が増えており、米国ではアナログレコードの売り上げがとうとうCDを超えたという話も聞く。
オーディオマニアの憧れのレコードプレーヤーといえば大型で重量級のものを思い浮かべるが、最近は手軽で薄型デザインの軽量級レコードプレーヤーも人気があるようだ。
軽量級レコードプレーヤーは、必然的にカートリッジの重さやヘッドシェルの重さの制限があるので良さげなカートリッジやヘッドシェルでも断念せざるを得ない。
しかし、カートリッジとヘッドシェルはそのままでも、シェルリード線を交換することで音が激変することがわかった!
一度のその味を覚えると元に戻れなくなるので、覚悟が必要だという事を最初に言っておくことにする。
【もくじ】
カートリッジとヘッドシェルは、4cmほどのリード線で繋がっている。
たった4cmのリード線を交換するだけでも、かなり音質が変わる。
3つのカートリッジ全てにオルトフォンの軽量ヘッドシェルSH-4
私の使っているカートリッジは、TEACのアナログレコードプレーヤーTN−3Bに付属しているオーディオテクニカ VM型ステレオカートリッジ AT-VM95E を除くと、ortofon 2M Red のMM型ステレオカートリッジ 、DENON DL-103 MC型ステレオカートリッジ
、audio-technica AT-MONO3/LPという高出力MC型モノラル専用の3つがある。
軽量ヘッドシェルを何個か比較した結果、3つのカートリッジ全てにオルトフォンの軽量ヘッドシェルSH-4を採用している。
オルトフォンのMM型カートリッジ2MRED
MC型カートリッジのDENON DL-103
モノラル再生専用にオーディオテクニカのAT-MONO3/LP
カートリッジそれぞれには音の違いがあり、アナログレコードプレーヤーを持っていると、いずれ高級カートリッジを手に入れることを憧れたりするものだが、なかなか手が出せないのが現実。
だが、カートリッジも使いこなしで、かなり音質の向上が図れる事がわかった。
意外な組み合わせ?! オルトフォンとWEのブラックエナメル
憧れのビンテージ
以前からウエスタンエレクトリック通称WEのケーブルを自分のオーディオシステムで使ってみたいと思っていた。
WE(ウエスタン・エレクトリック)のスピーカーケーブルは希少性が高い為か結構な価格で販売されている。
スピーカーケーブルは2、3mを2組買わなくてはならないが、シェルリード線なら4cmという短い線が1つのカートリッジあたり4本で済むので手が出しやすい。
そこで、WEのブラックエナメル単線24awgを使ったシェルリード線を購入してみた。
上の写真はヤフオクで購入したものだが、実は【KS-Remasta】というシェルリード線専門工房が作っているものだった。(但し、いつも出品しているとは限らない。)
AT-MONO3で試すWEブラックエナメル
最初はモノラルカートリッジのAT-MONO3 にWEのブラックエナメルを繋げてみた。
レコードを何枚か聴いていくと、だんだん細かい音が出るようになってくる。
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モノラル独特の真ん中から迫ってくる分厚い音を想定していたのだが、迫力よりも陰影が深く艶のある音になった。
DL-103で聴くWEブラックエナメル
次に DENONの超定番MC型ステレオカートリッジのDL-103にブラックエナメルを繋げて聴いてみた。
期待していた中高域の艶は少し増したが、パッと聴いて感動するまでには至らなかった。
単線はスピーカーケーブルや自作したRCAケーブルで体験した事があるが馴染むまで時間がかかる。
まだまだエージング不足なのか?
WEの単線は24awgのほかに22awgや20awgなど太めのもある。
もしかするとDENONのDL-103のような低出力のMC型カートリッジには太めの22awg辺りからが良いかもしれない。
オルトフォンの2MREDで聴くWEブラックエナメル
次にオルトフォンのステレオMM型カートリッジ2MREDにWEのブラックエナメル24awgを繋いだ。
オルトフォンの2MREDは、TEACのレコードプレーヤーTN-3Bに付属していたオーディオテクニカのVT-95Eから初めて交換したカートリッジだった。
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初めてオルトフォンのカートリッジを聴いた時は中高音にアクセントがあり、曲によっては高域が少し耳についていた。
しかし、スピーカーのインシュレーターやラックの防振対策などのおかげで、その個性は程よい艶として聴こえるように変化していた。
そんなオルトフォンの2MREDにWEのブラックエナメルという単線で作られたシェルリード線を持ってきたら、さぞかし中高域が目立って耳に刺さるのではないか?
ところが、繋いでみるとビックリ!
見違えるようにワイドレンジで高音質に鳴り始めた!
・レンジは広がり細かい音が聴こえてくる。
・オルトフォンの個性だった中高域の艶が良い意味で更に磨きがかかったようだ。
・中高域の艶だけでなく中域や低音域が力強くウッドベースの存在感が増した。
意外だったECMレコードのキース・ジャレット・トリオのアルバム
WEのブラックエナメルといえば、色濃いビンテージケーブルのイメージで、最初はモノラルカートリッジが合うと想定していたのだが、意外や意外、キース・ジャレットのピアノとジャック・デジョネットのドラム、そして残念ながら最近亡くなったベースのゲーリー・ピーコックからなる最強のピアノトリオのアルバムがとても美しく且つ力強く鳴っている。
ECMレコードからこんな濃い音が出るとは思わなかった。
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更にもっと驚いたのが、オーネット・コールマン トリオのライブアルバム!
ストックホルムでのライブ演奏「ゴールデン・サークル Vol.1」のアルバムの1曲目の演奏前に司会者が話し終わったあとの観客の拍手がぞくっとするほど生々しさを感じる。
Ornette Coleman Trio
実に演奏が艶めかしい!
ライブレコードディング独特のウッドベースの深みや奥行き感が存分に感じられる。
スタジオ録音よりリアルなドラムのバスやシンバルの厚みのある響きに耳が奪われる。
そして、このリズムをバックにオーネット・コールマンのフリージャズだが勢い一辺倒にならない、どこか知的なアルトサックスの音色が濃くて実在感があり素晴らしい。
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オルトフォンとWEブラックエナメルのリード線は、低域から高域まで実に力強く、かつ艶やかで楽器の音の密度を濃くしてくれる。
これは意外な良い組み合わせだ!
聴く前の私の想定では、WEのブラックエナメルはビンテージケーブルというイメージで、'50年代のモノラル録音が良いと勝手に思って、モノラルカートリッジ用にしようと考えていたのだが思わぬ番狂わせだった。
オルトフォンとWEのブラックエナメルの組み合わせは「何か見てはいけないものを見てしまったような」不思議な艶めかしさを感じた。
これがビンテージケーブルの魅力なのか!?
【KS-Remasta】のシェルリード線
シェルリード線専門工房【KS-Remasta】は、WEのブラックエナメルの他にも魅力的なリード線がたくさんある。
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私は、モノラルカートリッジのAT-MONO3とDENONのMC型カートリッジDL-103にも【KS-Remasta】のシェルリード線を使っているが、どれもカートリッジの潜在能力を存分に発揮させる。
また【Analogrelux】というブランドとコラボしてシェルリード線を開発し、楽天市場やAmazonで販売されている。
WEブラックエナメルを使ったリード線は22awgで、今回オルトフォンのカートリッジと組み合わせた24awgより少し太めになるが、Analogreluxブランドからは「ジャズスタンダード」というタイプのものに使われている。
他にも色々なタイプがあり興味深い。
■ジャズ系だけでも👇これだけある。
他にもロックやポップシリーズも発売されている。
👆【KS-Remasta】のホームページ
ハイエンドケーブルはいったいどんな音がするのだろうか?
アナログレコードプレーヤーは、手を加えてやるとかなり音が変わる。
カートリッジやシェルリード線の交換以外にも、いろいろな使いこなしがある。
インターネットのストリーミングも良いのだが、アナログレコード盤の特有の音質を味わうと病みつきになる。
✅カートリッジの使いこなしのほかにも高音質再生の手法を記事にまとめています。
👇もっとレコードを高音質で聴きたい方はこちら👇
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2020年9月27日