実家をリノベーションするとき、両親の寝室に「テレビ壁」を作った。
ベッドの足元側に間仕切り壁を立て、その壁にテレビを埋め込む。
寝ながら映画やテレビを楽しめる、いわゆる「シアターベッドルーム」だ。
だが、この計画は家族全員に反対された。
それでも押し切って実現させた。
今回はその経緯と、実際に作ってみて分かった失敗も含めてお伝えしたい。
【もくじ】
- きっかけはYouTube「ジュータクギャング」
- しかし、家族全員に反対された!
- 完成したシアターベッドルーム
- 失敗①:ここでもCD管が足りなかった
- 失敗②:テレビ掛け金具をアーム式にしなかった
- やらなかったが、面白そうだったこと
- シアターベッドルームを作るときのチェックリスト
- まとめ
きっかけはYouTube「ジュータクギャング」
この計画のもとになったのは、YouTubeチャンネル「ジュータクギャング」の押村知也さんが提案していたシアターベッドルームだ。
押村さんはSTYLUS(スタイラス)所属の住空間クリエイターで、関西で住宅や不動産に25年携わり、1,000棟以上の設計・建築を手掛けてきた方。
「世の中にないものをつくる」という考えのもと、間取りからインテリア、照明計画までトータルでコーディネートされている。
その動画で紹介されていた【マスターベッドルーム/主寝室】という動画のシアターベッドルーム(EVERYDAY !! CLUB FLOOR)を見て、「これを両親の寝室でやりたい」と思ったのが始まりだった。

しかし、家族全員に反対された!
シアターベッドルームの計画を家族に話すと、返ってきたのは全員一致の反対だった。

<家族の反対意見>
- 入り口のドアから入ると、真正面にテレビ壁の側面が見えて鬱陶しい
- 間仕切り壁の分だけ部屋が狭くなる
確かにその通りだ。
テレビ壁は部屋の中央付近に立てることになるので、ドアを開けた瞬間に壁の断面が目に入る。
面積も食う。
ジュータクギャング・押村さんからの返事
迷った私は、思い切って押村さんのYouTube動画のコメント欄に、自分の状況を書き込んでみた。
押村さんは、私が質問するたびに、「大丈夫です!」「頑張ってください!」とコメントを返してくださった。
1,000棟以上を手掛けてきたプロからの後押しは、迷っていた私の背中を確実に押してくれた。
この言葉を胸に、私は家族を説得し、シアターベッドルームを実現させた。
完成したシアターベッドルーム
クロスは石目調のグレーを選び、天井は木目調に。
テレビ壁の上部にはダクトレールでスポットライトを3灯設置し、壁面を照らして演出している。

結果として、ドアから見える壁の側面も、グレーの石目調クロスのおかげで圧迫感が出ず、むしろ空間のアクセントになった。
反対していた家族も、完成後は納得している。
視聴距離2,800mmに55インチ
ベッドのヘッドボードから、テレビ壁の面(ツラ=壁の表面)までの距離は2,800mm。
そこに55インチの有機ELテレビを設置した。
「部屋に対してテレビの大きさをどうしようか?」
例えば、家電量販店の店員さんは、メーカーのカタログを見て、寝室用に小さめのテレビを勧めてくることが多い。
だが『寝室であるほどテレビは大きい方が良い』というのが私の持論だ。
寝ながら見るということは、リビングのように前のめりで見るわけではない。
リラックスした姿勢で視界に入る面積を確保するには、むしろ大画面が要る。
しかし、テレビで映画しか観ないのであれば、画面が大きければ大きいほど良いが、かと言ってメーカーカタログなどに記載している"55インチの視聴距離は1m”でニュースを観るのは、さすがに圧迫感がある。
私は昔からテレビを買うとき、現実的に「程よい視聴距離」とテレビのインチ数の関係を公式にしている。
ここで言う「程よい視聴距離]」とは、4Kのコンテンツや映画だけではなく、フルHDや地上デジタル放送のニュースやスポーツ、バラエティなどを観ても疲れない距離ということだ。
【公式1】テレビのインチ数×2.5×2
=「程よい距離(cm)」
(例)55インチに対して、程よい視聴距離を求めたい場合
55×2.5×2=275cm が目安となる。
これは、画面の斜め対角の寸法の2倍が、程よい距離だということを示している。
【公式2】視聴距離(cm)÷2.5÷2
=「程よい画面の大きさ(インチ)」
(例)視聴距離280cm(2,800㎜)の、程よいテレビの大きさを求めたい場合
280cm÷2.5÷2=56インチが目安となる。
テレビ壁の左右は、後述するオープンクローゼットへの動線になる。
寝室に「テレビ壁」を設けたい場合、「テレビ壁」とベッドとの距離とテレビ壁裏のオープンクロークがウォークスルー出来るようにすることも大切だ。
総合的に考えて10畳弱の部屋で、シアターベッドルームのテレビ壁を設置する場合、55インチが適正サイズだった。
テレビ壁の裏はオープンクローゼット
このテレビ壁には、シアター以外にもう一つの役割がある。
母は物を捨てられない人で、服がクローゼットに入りきらない。
そこで壁一面をオープンクロークにして、それをテレビ壁で目隠しする。
ジュータクギャングの押村さんが設計したシアターベッドルーム(EVERYDAY !! CLUB FLOOR)がまさにベストアンサーだった。
つまりこの壁は、シアターのスクリーン壁であると同時に、生活感を隠す間仕切りでもある。「テレビ壁」は一石二鳥の設計だ。
テレビ壁の上部を天井から離した理由
押村さんのシアターベッドルームでは、テレビ壁は床から天井までの一枚壁になっている。
だが我が家では、私がシアターベッドルームを提案すると家族から「壁が鬱陶しい」という意見が出ていた。
そこで壁の上部を天井から下げ、天井とは離す設計にした。

壁は床面にしっかり固定し、且つ「テレビ壁」上部の左右2本のパイプで天井からも支える形で強度を確保している。

これが結果的に大成功だった!
- 壁の上に隙間ができ、天井の木目クロスが壁の向こうまで見通せるので抜け感が生まれた
- 圧迫感がなくなり、家族の懸念も解消された
- さらに、このパイプの中を配線経路として使った
3つ目が特に効いている。

ニッチ内に仕込むコンセントの電源ケーブルやアンテナ線やLANケーブルを、天井からパイプの中を通して降ろすよう工務店に指示した。
構造材が配線経路を兼ねるので、壁の中の配線量を減らせる。
テレビ壁内にはグラスウールを充填
テレビ壁は空洞にすると、音で共鳴して鳴いてしまう。
そこで、壁の内部にグラスウールを詰めて、共振を抑えるようにした。
これは、スピーカーのエンクロージャーに吸音材を入れるのと同じ考え方だ。
壁自体が余計な音を出さなければ、テレビの音がクリアに聴こえる。
テレビはSONYの有機ELがおすすめ(画面から音が出る)
設置したのはSONYの有機ELテレビ 55インチ。

ソニーは2017年製のA1シリーズから、画面自体を振動させて音を出す仕組み(アコースティック サーフェス オーディオ)を採用している。
(※ソニーのホームページから引用)

音の出どころと映像がぴったり一致するので、セリフが画面の中から聴こえてくる。
正直、下手なサウンドバーより音が良い。
寝室でサウンドバーを置くスペースを取れない場合でも、これなら追加機器なしで十分な音質が得られる。
テレビ下は機器収納スペースに
テレビの真下には、ブルーレイレコーダーや外付けHDDや4Kチューナーなどを置けるスペースを設けた。
この部分は壁の厚みをそのまま利用した棚なので、奥行きが浅い。
そのため背板はつけないことにした。
奥行きが足りない分、機器の背面から出るケーブルを逃がすスペースが必要だったからだ。
結果的に、背板がないことで放熱にも有利になり、配線の取り回しもしやすくなった。これは狙い通りだった。

失敗①:ここでもCD管が足りなかった
リビングのサラウンド配線でも同じ失敗をしたのだが、このテレビ壁でもCD管(配線用の管)が細く、本数も足りなかった。
壁掛けテレビにするなら、HDMIケーブル・LANケーブル・電源・アンテナ線など、複数の配線を壁の中に通す必要がある。
しかも、後から機器を買い替えたときにケーブルを入れ替えられるようにしておきたい。
ところが実際は、後から配線を通そうとすると管の中で引っかかり、かなり苦労した。
教訓 : CD管は「太く」「本数を多く」「なるべく直線的に」
工務店に依頼するときは、「CD管を入れてください」だけでは不十分。
太さ、本数、経路まで具体的に伝える必要がある。
✅リビングのサラウンド配線での失敗は👇こちら
www.audiojazzlife.com
失敗②:テレビ掛け金具をアーム式にしなかった
これも痛恨のミスだった。
テレビ壁は、テレビがぴったり収まるようニッチ(壁のくぼみ)状にくり抜いたデザインにしている。
見た目は非常にスッキリするのだが、問題は取り付け作業だ。
壁のくぼみの中で、テレビを金具に固定する作業が想像以上に大変だった。
手を入れるスペースが限られており、55インチの重いテレビを2人で支えながら、狭い隙間で金具のフックを引っ掛ける必要がある。
アーム式(可動式)の金具を選んでいれば、テレビを手前に引き出した状態で作業でき、その後の配線交換も楽だったはずだ。

教訓 : ニッチ状に埋め込むなら、金具はアーム式を選ぶ
特に大画面テレビの場合、設置時だけでなく、後々の配線メンテナンスまで考えるとテレビ掛け金具はアーム式一択だと思う。
やらなかったが、面白そうだったこと
今回は両親の寝室なので実施しなかったが、テレビ壁を作るなら試してみたかったことがある。
テレビ壁にスピーカーを仕込む。
壁の中に埋め込み型スピーカーを入れれば、見た目はスッキリしたまま音質を大幅に向上できる。
テレビ内蔵スピーカーとは次元の違う音になるはずだ。
壁の厚みがあるので、埋め込みスピーカーのエンクロージャー(箱)としての性能もそれなりに期待できる。
自分の部屋でシアターベッドルームを作る機会があれば、次は間違いなくこれをやりたい。
✅サラウンドシステムの構築については👇こちら
シアターベッドルームを作るときのチェックリスト
私の経験を踏まえて、これから検討する方へのポイントをまとめておく。
①家族の反対は想定内。
完成イメージ(クロスの色、照明計画)まで具体的に見せて説得する
②壁と天井をパイプで固定すると、抜け感が出て圧迫感が消える。
しかもパイプを配線経路に使える(※ただし、耐震強度を考慮すること!)
③CD管は太く・多く・直線的に。後から配線を入れ替えることを前提に
④テレビ掛け金具はアーム式。特にニッチ状に埋め込む場合は必須
⑤テレビ壁内にはグラスウールを充填して共振を防ぐ
⑥テレビ下の機器棚は背板なしにすると配線と放熱に有利
⑦クロスと照明で圧迫感を消す
⑧テレビは可能な限り大きく。寝室こそ大画面が効く(部屋の広さと動線が許す範囲で)
まとめ
家族全員に反対されたテレビ壁だったが、作ってよかったと思っている。
反対された「入り口から見える側面」「部屋が狭くなる」という懸念は、クロスの選定と照明計画でかなり緩和できた。
むしろ、寝ながらテレビを見られる快適さの方が上回っている。
CD管とテレビ掛け金具については明確な失敗だったが、これから作る方は私の失敗を踏み台にしてほしい。

背中を押してくださったジュータクギャングの押村さんには、改めて感謝したい。
✅リビングのサラウンド構築での失敗と教訓は👇こちら
✅AVアンプの活用については👇こちら
👇もくじをタップすると読み返したい箇所にジャンプします。
【もくじ】
- きっかけはYouTube「ジュータクギャング」
- しかし、家族全員に反対された!
- 完成したシアターベッドルーム
- 失敗①:ここでもCD管が足りなかった
- 失敗②:テレビ掛け金具をアーム式にしなかった
- やらなかったが、面白そうだったこと
- シアターベッドルームを作るときのチェックリスト
- まとめ


![HiVi (ハイヴィ) 2026年 夏号 [雑誌] HiVi (ハイヴィ) 2026年 夏号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/41HBuInjvTL._SL500_.jpg)
