スピーカーを設置するポイント
オーディオを高音質にする為の基本である振動の対策方法については以下の通り。
・振動対策の手順
①床の振動対策
②スピーカーの設置の対策
③アンプやプレーヤーの設置・ラックの対策
④インシュレーターで制御する
⑤オーディオ機器本体に対する振動制御
※理想は①から⑤の順番に進めていく。
今回は②のスピーカーの設置について解説をする。
②スピーカーの設置について(3タイプ別)
スピーカーは大きく分けて3つのタイプに分けられる。
1・フロアー型スピーカー
2・トールボーイ型スピーカー
3・ブックシェルフ型スピーカー
前回の記事で説明した床の補強が出来たならば、次はスピーカーの設置をする事になる。
タイプ別にスピーカーの設置についての重要的な基本を説明したいと思う。
1・フロアー型スピーカーの設置
フロアー型はその名前から分かるとおり、大型のスピーカーでスタンドなどに載せずそのまま床に設置する事を前提に作られている。
「防振対策の手順 ①床の防振対策」で補強のために敷いたボードなどの上に設置するだけで良い。
しかし、その補強の為のボード自体もガタツキをしっかり抑えてある事が前提だ。
ガタツキがあると上に置かれたスピーカーも一緒に動いてしまう。
ボードの上に置くスピーカーもガタツキの無いように設置する事が重要。
ガタツキを取るには、コインや薄い木片やPタイルなどをスペーサーとして使う。
スペーサーは出来るだけ、少なくすむような箇所を根気よく探して、スピーカーの天板を手のひらで揺すっても動きが少なくなるようにする。
ガタツキがあると、一旦スピーカーが振動しだすとその振動が止まら無いうちに次々とスピーカーが振動する事でキャビネットが余計な動きをし、スピーカーの振動板の反動をうまく受け止められず、トランポリンの上で走るみたいに、しっかりと踏ん張れなくなる。
これはエネルギーがロスするのと余計な音が付加される要因にもなるので、時間をかてガタツキを解消してやる事がポイント。
2・トールボーイ型スピーカーの設置
トールボーイ型はフロアー型よりスリムだが、フロアー型と同じく、そのまま床に置くように耳の高さがツイーターの位置にくるよう1m前後の高さが多い。
基本的には、トールボーイ型もフロアー型と同じと考えで良い。
最近のトールボーイ型は、スピーカーの底面の角にスパイクが付いてある。
スパイクは、高さ調整ができるアジャスターが付いているものであれば、全てのスパイクがしっかりと踏ん張れるように調整する事が大事だ。
アジャスターがなく調整できないタイプは、コインや木片などをスパイクの下にかまして調整する事となる。
3・ブックシェルフ型スピーカーの設置
ブックシェルフタイプスピーカーは、昔、書籍と一緒にさりげなく本棚に置く事を前提とされたスピーカーである。
ブックシェルフ タイプにも、大型や中型、小型などがあり、とても本棚に収まるとは思えないサイズのものがある。
小型ブックシェルフ も、バスレフポートがスピーカーの背面や底面に設けられるようになり、これも本棚に押し込むとバスレフ効果を発揮出来ない。
現実的には、スピーカースタンドを使ってリスナーの耳の高さぐらいを目安に持ち上げるか、チェストなど家具の天板にアンプやプレーヤーと一緒に設置することも多い。
・スピーカースタンドを使う場合
ブックシェルフタイプのスピーカースタンドを選ぶ場合は、リスナーの耳の高さにツイーターが来るように逆算して、スタンドの高さを見極め選ぶと良い。
特に床の防振対策のためにボードを敷いたりしているときは、その厚み分のことも考えて購入しないと、いざ自室で設置した場合に、思ったよりも高い位置になりスピーカーを見上げるような高さになるので、しっかり寸法を計算してからスタンドを購入することをおすすめする。
スタンドが低い分には下に板を挟んだりして高さを増す事が可能だが、高さの高すぎるスタンドはどうしようも出来ないのである。
スピーカースタンドは、重くて強度のあるものが良い。
軽いものは上に載せるスピーカーのほうが重くなり、重心が高くなるのでふらつきやすくなる。
最悪の場合、転倒して壊したり怪我をするので注意が必要だ。
スタンドも、木製や金属製など種類があり、自分のスピーカーのサイズに応じて選ぶと良いが、素材によって固有の音色が音に乗る場合がある。
出来るだけ重い方が素材の影響は少ないが、会えて響きの良い木製を選ぶなど自分の好みで選ぶと良い。
金属製のスタンドの支柱の場合、中が空洞のものがあるが、その空洞に鉛粒やジルコンサンドなど比重の高い砂状のものを入れると重量増加と鳴きの防止にもなる。スタンドのメーカーによっては専用の充填材がオプションで売られている。
スピーカースタンドもガタツキ厳禁!
小型ブックシェルフ用のスタンドは、スピーカーが小さいほど背が高くなる必要がある。
出来るだけ床や補強用のボードに設置する側のスタンドの底面の面積が広いものを選ぶと安定感が増す。
スピーカースタンドも、最近のトールボーイスピーカー同様、スパイクが備わっているものもあるので、アジャスターがあればしっかり踏ん張る用に調整しガタ付きは抑えておく必要がある。
アジャスターが無ければ、自力でスペーサーなどを噛ませてガタツキを抑えて置く事が重要。
(番外編)
床の構造ので根太のある場所を狙ってスピーカーを設置すると良い。
部屋の壁ぎわも同様に床の強度が高い。
壁ぎわ近くにスピーカーを設置すると、スピーカーから出た音が背後の壁に反射しやすくなる。
これは指向性の強い高音よりも指向性の緩やかな低音の方が音が回り込むみやすい為だ。
過剰に低音が増える場合は、例えばバスレフポートに吸音材を詰めなどすると量感が減る方向となる。
特殊な場合だが、床よりも壁自体の強度が高い場合がある。この場合は工夫してスピーカーを後ろに傾けて、強度の高い壁面に立てかけてみるのも面白い。(*「壁」を「柱」と読み替えても良い)
<スピーカーを設置するときのポイント>
・スピーカーの振動をしっかり受け止める為に補強した床の上に設置する。
・ふらつきやガタツキを徹底的になくす。(根気強く!)
・ツイーターがリスナーの耳の高さにくるように調整する。
・スピーカースタンドは重くて強度の高いものを選ぶ。
・スピーカーを家具の上に置く場合は、
家具自体を強度のある床面に設置してガタツキをなくす。
スピーカーの設置に対しての振動対策は、オーディオの高音質化にとって重要なポイントとなる。
2020年1月24日