悪夢のオーディオルームにならない為に!
【 目 次 】
オーディオマニアにとって、マイ・オーディオルームは憧れ
もし自分が家を建てることが出来るのなら、真っ先にオーディオルームの事を考えるだろう。
残念ながら私は、狭い団地の六畳間の寝室がメインのオーディオルームである。
家族と一緒に3人が寝る部屋なので、仕事から帰って風呂に入り、夕食を済ませて落ち着いた頃にはもう子供が布団の中にいる。
リビングでは妻が、韓流ドラマを観ている。
私がパソコンで作業しているといつのまにやら、妻がテレビをつけっぱなしで寝ている。
そして、ようやくサブシステムで音楽を聴くことが出来る。
土日の休みは、寝室がオーディオルームになる。
時間の許すかぎりオーディオを楽しむ。
だが、共同住宅ということもあり、音量には気を使う。
やはり、気兼ねなく鳴らす事のできる戸建てのオーディオルームが理想だ。
オーディオルームを造る(建てる)方へおすすめの2冊の本
これから注文住宅で家を購入する、家を建て替える、リフォームするなどして、オーディオルーム(リビングオーディオでも)を造る場合に、前もって読んでおいたほうが良い本2冊をご紹介したいと思う。
「住まいと音」
・・著者 岡山好直氏
「長岡鉄男のスーパーAV」
・・著者 長岡鉄男氏
2冊ともかなり古い本だが、キャリアの長いオーディオマニアなら、きっと頷くことがたくさん書いてある。
建築家の本などが好きで買っていたことがあったが、ホームオーディオの音響についてまともに語っているのは、「住まいと音」の著者 岡山好直氏とオーディオ評論家の長岡鉄男氏だった。
この本には、音楽鑑賞をするための部屋の「防音」と「遮音」と「吸音」という3つの重要なことがしっかり書かれている。
防音といえば吸音と勘違いしている人が、昔は多かったが最近はどうだろうか?
工務店や建築家は、オーディオマニアとは限らない。
ローンを組んだり、大金を払っても、任せっきりにしていると後悔する可能性がある。
一生のうちに1回か2回チャンスが有るか無いかのマイ・オーディオルームを計画される方は、ぜひこの本を読んで欲しい。
読み終わったら、納得の行くまで工務店の担当者や建築設計士と話し合って欲しい。
少し乱暴な言い方をするが、”言いなりになっている施主は、カモられる可能性が高い” ので要注意だ!!
会社の先輩が家を建てる
会社の先輩が家を建てるという。
うらやましい限りだ。
先輩は映画が好きで、今は大阪市内のマンションのリビングでサラウンドシステムを組んでいる。
私がオーディオ好きと言うことで、有機ELテレビやAVアンプの事で、たまに話しかけてくれたりする。
私がテレビを安く買えたときの事を参考にしていただいたみたいで、家の竣工が5月にも関わらず既に、AV家電を買い揃えて取り置きしてもらったと話していた。
先日、そんな先輩が、建築中の家の図面を私に見せ嘆いていた。
新しい家のリビングでも、サラウンドシステムを組む為に、ホームシアターの設計をするオーディオ専門店と綿密な打ち合わせをし、天井埋め込みスピーカーの位置、AVラックや壁掛けにするテレビの位置、コンセントの位置など詳細な図面を描いてもらい、家の建築を依頼している工務店に前もってその詳細図面を渡していたという。
しかし、工事中の現場に行ってみると、コンセントの位置やケーブルを引き出す開口の位置など、ホームシアター専門店の描いた図面通りになっていなかったとのこと。
先輩が工事現場の電気工事士に、「詳細図面と違うのではないか?!、いったい何を見てここにコンセントをつけたのか?」など問い詰めてみると、図面通りにやっているという。
先輩が、電気工事士に持っている図面を見せてもらうと、なんと工務店の設計士が描いたプロット図だったという。
プロット図とは、コンセントやスイッチ、照明、などを記号で示されたもので、そこにはテレビやAVラックなどが描かれていない。
これは、電気工事士は悪くない。
渡されたホームシアターの詳細図面を、しっかり目を通していない工務店の現場監督の責任だ。
工務店の現場監督や電気工事士は、今まで一般の住宅や電気配線工事をきっちりこなして来たのだろうが、オーディオやホームシアターについての知識があるとは限らない。
天井裏のスピーカーケーブルと電気屋内配線(VVFコード)を束ねると音質が劣化するなどを気にしているのはオーディオマニアぐらいだ。
ホームシアター専門店に依頼した詳細図面も只ではない。
当然、先輩は工務店にクレームを入れやり直しさせる事となった。
独身時代*実家のオーディオルームのリフォーム
結婚する前の実家暮らしのときは、ありがたくも自分専用の部屋があった。
それは私のオーディオルームでもあった。
その部屋は6帖の洋間で、ベランダもあった。
しかし北側のベランダで日当たりが悪く、洗濯を干すわけでもなく、ガーデニングをするわけでもなかった。
年数が経過し家も古くなり、リフォームをする事となった。
私の部屋は、ベランダを潰して6帖の洋間から10帖の洋間へとグレードアップすることとなった。
そのころからスピーカーは、10cmフルレンジのバックロードホーンのスーパースワンを使っていた。
当時は塗装のされてない、シナ合板むき出しのままだった。
オーディオマニアの私としては、親が建てた家を親がリフォームする(親の金という意)という絶好の機会だったので、自分の要望を紙に書いて親に説明し、工務店に伝えるよう渡しておいた。
私の要望は以下のとおりだった。
①床の根太は、共振周波数を分散するために、なるべくピッチをランダムにして欲しい。
②窓サッシは2重にして欲しい。
③壁の裏にはグラスウールをしっかり詰め込んでほしい。
④出入り口ドアは、重たく防音性の高いものにしてほしい。
⑤オーディオ専用の電源配線をしてほしい。
(コンセントの位置も指定した。)
しかし、結果は
①に対して、根太は普通のピッチだが、フローリングをランダムにしたという?
このフローリングのランダムとは、フローリングの木の幅が見た目にランダムなだけであった。
私は気持ちだけ、ありがたく受け止めた。
②に対しては、樹脂サッシ(インナーサッシ)をつけてもらった。(私の部屋だけではなくリビングなども)
これは大正解だった。
まず冬場の結露が殆ど発生しない。
冷暖房が良く効く。
外から入ってくる音が段違いに小さくなる。
③に対しては、工事中の現場をみてみると、増築した元べランダのあったところに作った壁に対しては、グラスウールを入れいていたが、もともとあった床、壁、天井にはグラスウールは入れていないという。
親に聞くと、”工務店の人が必要ないとの言った”からとの事。残念。
④に対しては、普通の木製のフラッシュドアに鉛シートを貼ったという。
その効果は?
1階のリビングから母親が「ごはんやで〜! 降りといで〜!」という声がいつも通り聞こえた、、、、。
⑤に対しては、却下された。
工事が大変になるから無理との事だった。
しかし、コンセントの数と大体の位置はお願いした通りになってオーディオやAVシステムを組むのに大変重宝した。
中学校時代の音楽室
以前、私が中学生のときに体験した音楽室の事を描いた記事がある。
タイトルどおり、音楽室とは名ばかりで、床、壁、天井のどれも反射を抑えるだけのものでしかなく、まだオーディオマニアではなかった私でもピアノや合唱の声が響かない部屋を音楽室と呼んでいる事に疑問を感じていた。
学校の音楽室を設計したゼネコンは、コンサートホールの音響デザインをする人では無いのである。
大きな音を小さくするための、ただの吸音ルームを造っていたのである。
最後にもう一度言っておいきたい事
先輩の建築中のリビングのホームシアターの電気工事にしろ、私の実家に居たころのリフォームの例にしろ、中学校の音楽室にしろ、高音質を考えた建築やリフォームはなかなか難しいものである。
・工務店や建築士は、オーディオルームの専門業者では無い。
・電気工事士がオーディオマニアとは限らない。
・オーディオマニアの要望は、ふつうの人には理解されない。
・音楽室では、音が楽しくない。
私はというと、夢のマイホームに夢のオーディオルームでは無いけれど、
音楽を聴いて、いつも夢心地なのは幸せ者かも知れない?!
(おすすめの書籍)
2020年4月1日